地域との協働でスイッチ主体的に行動する人へした、教員の担当者が変わっても活動が切れない体制にもなってきたと思います」(津田先生) 文科省の事業は21年度で終了したが、その後もあい3プロジェクトは発展しながら継続している。では、こうした活発な地域協働による3年間の学びのなかで、生徒はどう変化しているだろうか。まず、あい3プロジェクトの目標の一つである「地域に対する愛」が着実に育っていることが、データや教員の話からうかがえる。生徒アンケート結果の経年変化を見ると、年次が進むにつれて地域課題への関心や地域への貢献意欲が大きく増加している(図4)。 「いろんな場面で、生徒の『自分が地域のために何かするんだ』という意気込みを感じます。田布施町外在住の生徒も多いですが、それぞれの地元を見つめ直す機会になり、地元が単に『家がある場所』であるだけでなく、『自分たちが生きている場所』との思いが強くなっているのではないでしょうか」(松本先生)こうした地域愛を原動力に活動するなかで、生徒は多様な力をつけていくという。「自分たちの活動を地域の方に認めていただくことで自己肯定感が高まった」、「連携先企業の経営状況にも影響する活動に取り組むことで責任感が芽生えた」など、教員からはさまざまな手応えが語られる。また、素直だが受け身な面もあった生徒たちが、やりたいことに向けて自ら突き進む姿も見られる。 「1年生のときは与えられたテーマをとりあえずこなしてみることから始まりますが、自分たちの活動が地域の方に認められたとき、スイッチが入ります。『先生どうするの?』『次は何するの?』と指示を待っていた生徒たちが、『生物生産科の野菜を使いたいので畑に行って交渉してきていいですか』と自ら必要な大人にアクセスしたり、『明日こういうことをしたいから準備お願いします』と要望を出したり、やりたいことに向けて自分で切り拓いていくようになっていきます」(宗正先生)揮していくことが期待される。卒業後は、同校で育んだ力を地域で発 「何か大きなことをしなくても、地域の子どもたちに『いってらっしゃい』『おかえり』と言葉を掛けられるような、地域を愛する大人になってほしい。それが地域の力になり、地域の農業や工業を盛り上げていってくれると思います」(津田先生)また、地域愛とともに学校愛も育んだ卒業生が、再び同校の下に集まってくる日を、教員一同で楽しみにしているという。 「ある卒業生は『いつか学校協議会メンバーとして戻ってきます』と言って巣立っていきました。地域愛や学校愛をもつ卒業生と共に『チーム田布施』となり、今後も地域を担う子どもたちを育てていけたら嬉しいですね」(松本先生)図4 生徒(2020年度入学生)アンケート結果の一部Interview51● 地域の課題について考えたことがある2021年5月2023年1月● 将来、地域の発展に貢献する活動がしたい2021年5月2023年1月● 地域の人と協力して、様々な活動がしたい2021年5月2023年1月● 地元で就職を(進学した後も)考えている2021年5月2023年1月人とつながる力を伸ばしていきたい 畜産や野菜作りなどの作業は、決して1人ではできません。生物生産科のさまざまな活動のなかで、周りの人とどう協力するかを考え、声を掛け合い、助け合うことを学びました。また、地域の方と連携して行う活動も多く、先輩たちが築いた関係性を基に、新たなつながりも切り拓いていこうとしています。生徒あい3委員会でコンソーシアムの方と話し合うときは内心ドキドキですが、皆さん優しく話しやすい雰囲気をつくってくださるのがありがたいです。 こうして人と出会い交流するのがとても楽しく、もっといろんな人とつながって多くのことを知りたいと思うようになりました。高校卒業後は大学に進学して心理学を学び、コミュニケーションの力をつけることが今の目標です。ものづくりの責任感や、地域の一員である意識が芽生えた ジャムやお酒などを地域と連携して製造・販売する実習を通じて、“生産者”としての責任感を味わうことができました。例えば、ジャム製造時に異物の混入は絶対避けなければなりません。大変だけど、商品を喜んでくださる方を思い浮かべてがんばっています。将来は、地元で食品の商品開発に携わる仕事に就きたいと考えています。 いろんな授業で地域の方と関われることはすごく楽しいです。生徒あい3委員会として参加した田布施町の会議で、「生徒が作った野菜やジャムを駅で販売してはどうか」とご提案いただいたとき、「ああ自分たちはすごく頼りにされているんだ」と実感しました。私の住む町でも何かできることがあるかもしれません。今後も地域に積極的に携わる姿勢を大事にしていきたいと思います。対象学年:2020年度入学生実施年月 2021年5月(2年次)・2023年1月(3年次)そう思う ← ■ 4 ■ 3 ■ 2 ■ 1 → 思わない2023 JUL. Vol.447(生物生産科3年生・井上 昌さん/写真右)(食品科学科3年生・山根 輝さん/写真左)
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