桃 山学院では、将来構想の一つとして「地域と共に発展する」というビジョンを掲げ、「地域密着の社会課題解決型学修」を推進しています。本学のメインキャンパスがある大阪府和泉市は、コミュニティの絆が強く、多くの卒業生がサーバント・リーダーとして地域活動に励んでいます。また、ソーシャルデザイン学科の先生方を中心に、自治体からの依頼で、福祉や生涯設計に関するお手伝いもしています。そうした土地柄もあり、地域で生まれ育ち、学び、働き、老後を過ごすという地域循環型の社会をつくる必要性を感じているのです。社会人に門戸を開いているのもそのため。知識やスキルを学び直すリカレント教育のみならず、地域の中でいかに生きていくかをトータルでサポートできる教育機関でありたいです。本学はまた、アジアを中心としたグローバルシティ大阪の玄関口である関西国際空港の近くに立地しています。留学生を受け入れるだけではなく、卒業後も地域で暮らせるプラットフォームを構築したいと考えています。ここで注意したいのは、地域の課題を考えるとき、日本社会の変化、さらには世界の動向を抜きに解決などできないということ。現場にいると、どうしても目の前に集中するため、一見うまく解決したように見えても、長いスパン、あるいは世界の中の地域という視点で見直したとき、「全然解決できていなかった」となりかねません。その意味で、長期的かつ広い視野で物事を考えることができる人材の育成こそ、本学の使命だと考えています。このことはすべての学問領域に当てはまります。例えば、大阪市内にあるビジネスデザイン学科に専門コースを立ち上げるなど、本学でもデータサイエンスに力を入れていますが、単にデータ分析のスキルの修得を目指すものではありません。育みたいのは、データが意味するものは何かを捉える力であり、なんのための分析なのか理解しようとするマインドです。長く銀行に勤務した経験から言えるのは、数字の裏側を見抜かないと実態は見えてはこないということ。1000万円の売り上げがあったとして、商品の優位性から売れたのか、期末の数字合わせで強引にたてた数字なのかでは意味が異なります。今のは身近な例ですが、大企業が発表する各種数字や国の金融データも同じこと。表面的な数字だけ追っても課題解決には到底つながりません。その点、阿倍野というビジネスの最前線にあるキャンパスで、生々しい問題をも取り扱ってきた同学科の経験が、生きた教育を可能にするでしょう。一方、和泉キャンパスの各学部で進めている情報教育においても、スキルをしっかり身につけてもらったうえで、今、申し上げたことにもフォーカスしたいと思います。少なくとも、幅広くモノを見る力が欠かせないわけで、文系総合大学として歩んできたこれまでの蓄積に、今後理系的な分野も取り込みつつ、総合的な学びを推し進めていくつもりです。 53学長プロフィール なかの・みつひこ●1956年生まれ。東京大学経済学部卒業。ロンドン大学ロンドン・ビジネス・スクール卒業。1980年三井銀行(現三井住友銀行)入行。2003年桃山学院大学経済学部助教授。2009年同教授。経済学部長、副学長を経て2022年4月より現職。2023年4月桃山学院教育大学学長。大学プロフィール1884年創立。ビジネスデザイン学部(ビジネスデザイン学科)、経営学部(経営学科)、経済学部(経済学科)、社会学部(社会学科、ソーシャルデザイン学科)、国際教養学部(英語・国際文化学科)、法学部(法律学科)の6学部7学科を擁する。和泉キャンパス(大阪府和泉市)のほか、大阪・あべのキャンパス(大阪市阿倍野区)にビジネスデザイン学部ビジネスデザイン学科を設置。2023 JUL. Vol.447まとめ/堀水潤一 撮影/篠原沙織20歳前後の青年だけではなく、広く
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