l-l2(H32 C23H6 前田敏和先生はある企業のロゴをプロジェクターのスクリーンに映し、「違和感ない?」と投げかけた。生徒たちは意図がつかめず、怪訝な顔でロゴを見つめた。続いて一文を表示。「仮説 ァベットはすべて大文字である」。ちの顔が一気に晴れて、どよめきや笑いが起きた。ロゴの中に一文字だけ、小文字が使われているのを発見したからだ。「人間はみているようで、みていません。予想や仮説をもって、意識したときに初めてみえるものがあるんですよ。だから今日の実験も、しっかり予想を立てて、みる視点をもって臨んでください」オン」を作る実験だ。錯イオンは、金属イオンに分子やイオンが結合し(配位)、全体としてイオンになったもの。その結びつきは必ずしも強くなく、別の分子やイオンの結合に容易に置き換わり、何と結合しているかで、見た目の色が変わる。ンの生成。①試験管に塩化銅を入れ、水になった。②アンモニア水(NH)を少しずつ追加。青白く濁り、沈殿物ができた。③さらにアンモニア水を追加。沈殿物が消え、透明な濃青色の液体に変化した!前田先生が補足する。熊本県立熊本北高校の化学の授業。ロゴにあるアルフそのあとで再びロゴを映すと、生徒た生徒たちが班ごとに行ったのは「錯イ一つ目の実験は塩化銅を使った錯イオO)を加える。すると淡い青色の液体「濃青色になったときに、銅イオンにアンモニアが配位(結合)したんだよ」二つ目の実験は、生徒が予想を立てたうえで、塩化コバルトを使った錯イオンの生成に挑んだ。①2本の試験管に塩化コバルトを入れ、水を加える。②片方には固体の塩化カルシウム(CaC)を追加、③片方には液体のアセトン(C少しずつ入れる。さて、試験管の中身は何色になるだろう?前提知識として「コバルトイオンがHと結びつくと青色になる」と教わり、生徒たちは2本の試験管の変化を「桃色」「青色」「わからない」「その他」の四択から予想し、理由まで考えた。まずは個々で予想を立てる。次に生徒同士で話し合って予想を磨く。「化学式から考えてさ…」「混ざると思う?」。仲間の意見にもふれて考えを深め、〝みる視点をもって実験に臨む〟下地ができた。実験開始。各班でさまざまな現象が起こり、前田先生が巡回して「ここは確認した?」などと声をかける。その促しも参考に生徒たちは「こんな原理でこうなったのでは」と仮説を立て、〝現象を分析するための視点〟をさらに鋭くした。実験結果をまとめると次のとおりだ。①塩化コバルトに水を加えると桃色になる。②その試験管に塩化カルシウムの固体を加えると、固体周辺だけが青色になり、あとは桃色の液体のままで、混ぜると「紫色」に見えた。③もう一つの試験管に、アセトンを少しずつ加えると、その液体が上部にたまって青色になり、下のほうO)をOと結びつくと桃色に、仲間と共に視点を鋭くして未知の現象と向き合う取材・文/松井大助 撮影/木下 将大学卒業後、私立や公立の講師を経て熊本県の高校教員に。前任校では、課題研究で指導した生徒たちが日本学生科学賞で上位入賞。その後、休職して大学院に通い、化学実験の研究で、東レ理科教育の佳作を受賞。現任校では、SSH研究部の副部長として、課題研究の全校展開にも力を入れている。2023 JUL. Vol.44754
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