体系的なキャリア教育ができず、40%台を推移する大学進学率を上げるには『適性診断』で好きを見つけ、研究を身近なものにする生徒たちがグローバルな視野でキャリアの実現ができるように、100を超える選択科目がある王子総合高校。しかし大学進学率は開校以来40%程度で推移し、2021年は最も低い数字を記録していた。「問題は、充実した選択科目があるのに、生徒たちは『あの授業は面白いらしい』など、目的意識なく感覚で選んでいることでした。キャリア教育も3年間の流れができておらず、生徒は自分の好きをどう探し、どう磨けばいいのかわからない。それが2021年に私が着任したときの状況です」そう話すのは、翌22年に進路部主任になり、わずか1年で開校以来初の大学進学率50%超えを達成した望月未希先生だ。進学率アップに役立ったのが「スタディサプリ」。櫛野治和校長が前任校で活用していたため、導入を即決し、活用できたことが大きかったという。「高校の総合学科は、漠然とやりたいことを探しに入学してくる生徒が多い。そうした生徒たちに高校の3年間は、『自分が生涯学び続けたいことは何か!』を授業選択によって探すためにあると、伝え続けてきました」進路部主任になった望月先生は、まずこの考え方を生徒に徹底。生涯学び続けたいことを具体的に探す2年次のキャリア教育には「スタディサプリ」を活用した。「スタートは『適性診断』。その場で診断結果が見られるので、好きなことや学びたいことがわからずに悩んでいる生徒も、適性がある分野や仕事について考えることができます。6月からは『学問探究BOOK』を使った探究の授業。101人の先輩たちの研究内容と研究を始めたきっかけが書かれていて、研究の原点とは、おおむね身近な疑問や興味だということがよくわかります。『研究者は遠い存在』と思っていた生徒たちも、この本を読んで『生涯学び続けられるものを探そう』という気になってくれました。興味あるテーマが絞れてきたら、次はオープンキャンパスの予約。この年から見るべきポイントなどをリクルートの方に講演してもらいました。そして3校は比較研究する。12月にはグループワークの課題研究発表をして、1月には自分が興味あるテーマを『学問探究BOOK』から5つに絞り、3年次にゼミ形式で学ぶ分野を決定する。学ぶことが面白くなれば、進学率は自然と上がります」2年生の研究発表は、1年生と3年生にも聞いてもらい、教員だけでなく生徒の意見を大切にし、「社会に出ても通用するたくさんの物差しを持ちなさい」と指導しているという望月先生。希望者だけに限っていた全国模試を2年生まで全員実施にしたことも、1年間で大学進学率12%アップの一因だという。人間は環境で変わる。キャリア教育を変えるだけで、進学率が大きく変わるという好事例だ。スタディサプリ for SCHOOL活用法2年次キャリア教育4月 スタディサプリ for SCHOOL 『適性診断』テーマ▶キャリア教育 目的▶生涯学び続けたい気持ちを育てる取材・文/丸山佳子6月『学問探究BOOK』「研究=難しいと考えがちですが、若い人が多く登場し、ファッション、アート、マンガなど、高校生にとって身近なテーマが多く楽しかった。私は全部読みました」と望月先生。7月 オープンキャンパス事前講座8月 スタディサプリ for SCHOOLを活用してオープンキャンパス参加1月 『学問探究BOOK』ワークシート提出生徒は1年間の探究学習を通して興味をもった研究テーマを5つに絞る。教員はワークシートを参考に、3年次での科目選択と進路のアドバイスをしていく。リクルートサービスを活用した実践事例61適性診断後すぐに結果がわかり、自分に合う仕事や学問分野を検索できる。「自分の居場所が見つかると、生徒はやる気になります」と望月先生。オープンキャンパスの予約のほか、大学や専門学校で開催するイベントの検索や予約もできる。2023 JUL. Vol.447進路右から校長櫛野治和先生進路部主任(取材時) 望月未希先生(美術)創立2011年/総合学科(男女)生徒数703人(男子248人、女子455人)進路状況(2023年3月実績)大学108人、短大6人、専門学校等84人、就職11人、その他11人 課題活用『学問探究BOOK』で研究の原点は「身近な疑問や興味」と知ることで、生徒が「生涯学び続けたいこと」を描けるようになった王子総合高校 (東京・都立)
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