キャリアガイダンスVol.447_別冊
5/8

 千葉県市川市にある社会科学の総合大学である千葉商科大学(CUC)は、「実学教育」を未来志向に発展させるため、2025年度から同大の基盤教育機構及び5学部7学科を新たな教育体制に改組する。 改編後は、1機構(基盤教育機構)4学部6学科19コースを予定しており、学部を問わず先端的な領域を学べるアドバンスト科目として、「グローバル」「情報・データサイエンス」「キャリア」「総合教養」の4プログラムを新たに設置する。これらの領域の知識・スキルは、今後の社会では分野を問わず求められるものだとして、全学生が学べるようになった(図1)。 国際教養学部の学生募集は2024年度入学者を以て停止、同学部が培ってきた知見と取り組みは、新たに全学横断型の国際人育成プログラムに転換される。これらの大改革の基となる新しい教育体制の案をつくったのが「CUC未来会議」だ。 「未来会議のメンバーは、今後10年20年位にCUCの幹部となることを期待する世代の中堅・若手の教職員です。それまでの全学の教職員を交えた議論のなかで前向きな意見を積極的に出していたメンバーから選出し、編成しました」(今井副学長) 選ばれたメンバーは、年齢も役職も関係なく、フラットに議論。大学組織では一般的に教授陣の発言力が強くなりやすいが、職員が積極的にコミットするのも未来会議の特徴だという。会議のリーダーである今井副学長も途中から、ファシリテーション役に徹し、ボトムアップの議論を活性化させることに専心した。 「大事なルールは、自分が属する部署の代表としてではなく、個人として議論すること。これからの社会で求められる大学とはどのようなものか、今あるリソースを活かして改革するにはどうすればいいのかを、個人がもてる知見を最大限に活かして発言するよう求めました。そのため、個々の発言内容を会議の外に出さないなどの配慮もしました」 未来会議が目指したのは、従来の組織の形にとらわれない変化だという。取材・文/伊藤敬太郎 撮影/マツモトタカシCUC未来会議でのフラットで未来志向の議論が改革につながった。Vol.447 別冊特集5時代が大きく変化している今、大学も不断の改革が求められている。2025年度4月より大規模な学部改組を実施する千葉商科大学(CUC)は、まさに変わり続ける大学として注目されている。ボトムアップで改革をリードする教員、職員へのインタビューを通して見えてくる組織としての強みとは。そして、改革のカルチャーが教育にもたらす効果とは。学校法人千葉学園 理事サービス創造学部 教授今井重男副学長

元のページ  ../index.html#5

このブックを見る