言葉は変化するもの。気持ちや感覚にしっくりくる新語・造語が生まれたり、言葉の誤用がそのまま定着したりする例は多い。高校生の話を聞いて、小さな子どもを持つ大人から「子どもが言い間違いをすることがある。つい正しい言葉を教えてしまうけど、本人の中で『自分には、この響きのほうがしっくりくるんだ』という感覚があるなら、いちいち正さなくてもいいのかな」といった問いもあがる。言葉にすることのためらいから始まって、言葉にしたいけれど言葉にならない気持ち、その「もやもや」が言葉につながる瞬間へと思考を深めてきたが、最後に高校生から出たのは「本来は、言葉がなくても伝えることはできる」という意見だった。「つい先日タイに行って、さまざまな国籍の人とボランティア活動をした。言葉が通じないもどかしさを感じたが、一方で、小さい子どもたちのほうが、意思疎通は上手だと気づいた。指差しやジェスチャーだけで気持ちは伝えられる。言葉は、自分の思うことや必要なことを伝えるために大事なものだが、同時に、言葉がなくても気持ちは伝わるものだ」。言葉にしなければ相手に伝わらない、ということもない。それでも、言葉にしたいものとは。各々が思いを巡らせながら会を終えた。
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