りのかけがえのない「個」を大切にするしている。とです。学校とは、今自分はどこに立っていて、どこを目指していくかを探る場 点数序列主義に迎合せず、一人ひと教育を目指して設立された自由の森学園。1985年の創立当初から、暗記重視ではなく対話により考える授業を実施し、評価は点数ではなく教員の記述、学びの成果はテストではなく作品やレポートで表現する教育を実践「本校で生徒に得てほしいのは点数ではなく、自分の立ち位置を見つけるこ所というのが本校の考え方です」(中学校教頭日本語科・山口大貴先生)生徒はすべての教科で徹底的に自分と向き合い、それを言葉にする学びを体験している。「日本語」科は、その基礎を担う教科だ。1991年以来、「国語」科とは呼ばず、国とは切り離して「自分たちの言葉」とし、さまざまな文章を通して自己を考える教科として「日本語」科と呼んでいる。教科目標は「自分の言葉で自分を語る〜言葉による自己表現の追求」。市販の教科書や文科省の指導書に頼りきらず、授業を通して生徒が本質的に自分を問うように、教員チームで教材選びから授業の組み立てまで行っている。「自分を語る」とは自分の考えを文章化していく作業だが、まずは文学作品や評論、古典など自分の外にあるものごと、さらにはそれらに対する他者の意見の受信が必要だ。他者の考えを受信するときにどのような力が自分に働くかを感じ取り、受信したものを一旦壊してみて再構築することで、「自分」を見つけていく。そのため、「書く」「話す」だけでなく、「読む」「聞く」も同様に重視している。日本語科の授業では、単元ごとに自分の考えを文章化した作品を作ることをゴールとしている。そこに至るまでは、まず単元ごとに教材を深く読み込み、内容について議論したり仲間と対話することから始まる。そこから生まれた自分の考えを文章にして提出。最初は下書きで、先生から意見をもらい、ブラッシュアップしていく。「『自分の言葉で自分を語る』とは、思い込みで書くのではなく、他者に伝わ言葉にする力を育む高校事例国語ではない「日本語」科で自分の言葉を見つけていく生徒一人ひとりと教員が1対1で徹底的に向き合う生徒たちが自分の内面と向き合うことで、「私だけの言葉」を見つけ出し、言語化する授業を教科や探究で実践している学校の取組を紹介します。単元ごとに自分の考えを文章にした作品を、クラスごとに冊子にまとめた作品集。表紙は生徒たちがイラストを描いて作成する場合もある。原稿用紙にびっしりと綴られた生徒たちの文章。単元のテーマに対する自分の考え、そこから見出した自身の内なる思い、今後どう生きていきたいかなどが表現されている。取材・文/長島佳子2023 OCT. Vol.44826※ダウンロードサイト:リクルート進学総研>> 刊行物>> キャリアガイダンス(Vol.448)
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