です」(山口先生)ていないか」「この視点は面白い」など、たりした生徒たちが、自信をもって自に作品集として冊子化し、全員で共有。ほかの生徒の考えやまとめ方から刺激ようになりたい」という原動力になる。した個をもち、表現力が豊かな生徒たちが育っている。ったり、他者の流れに合わせれば良いという感覚の方が多いからです」(日本語り、心に響く言葉になっているかが重要「この表現で本当に自分の言いたいことが語れているのか」「この主述はずれ検討すべき点と良い点の双方について先生と個々の生徒の1対1のやりとりで行われている。手間はかかるが、先生と一緒に生徒がじっくり自身と向き合うことで、最初は自分の意見をうまく外に出せなかったり、文章化できなかっ分を表現できるようになっていく。最終的に完成した文章はクラスごとを受け、「次は自分もこのように書ける単元ごとに作品集を作るサイクルを繰り返すことで、自分について考え表現する精度が高まり、自己のあり方を生徒たちは見つけていく。こうした教育の結果、他者に心のありかを委ねず自立「ただ、卒業した直後は、本校と世の中のギャップに生きづらさを感じている卒業生もいます。実際の世の中は、徹底的に向き合ってくれる大人が少なか科・土方真知先生)しかし、前述のように読む力や受信力を磨いてきた卒業生たちは、世の中を読み込み、見極める力も身についている。「卒業して2年目くらいになると前向きに諦めるようです。与えられた環境のなかで、世の中の流れにのるのではなく、そこで自分に何ができるかを考えて行動していく。自然にたくましく成長していく卒業生が多いですね」(土方先生)先生たちが近年課題と感じているのは、文章を添削されると自分を否定されていると感じる生徒や、教員受けするような答えを出そうとする生徒が増加傾向にあることだ。こうした生徒たちに、可能性を閉じさせず、自分と向き合うことの意味を伝える方法を模索するために、授業や生徒への向き合い方も変わってきたという。「教育目標は同じでも、昔は個々の教員がストイックに独自の授業スタイルを貫いていることが多かったです。今は若手もベテランも共に教科横断で、教員チームとして取り組んでいます。チームならお互いのノウハウを生かすことができ、若手から学ぶことも多いです。あらゆる人から学ぼうとする姿勢や、いろいろな方法を試そうとする若手のフレキシブルさには圧倒されます。その柔軟な対応力が、厚い生徒の殻を、無理矢理ではなく破っていけているように感じます」(山口先生)同校の点数序列に迎合しない教育について「自由の森学園だからできる」と他校から言われることも多い。「本校の取組がすべてとは思っていません。他校の先生たちともっと交流して、生徒が自分のあり方を見つけられる教育について一緒に学び合えたらいいですね」(土方先生)世の中に迎合せずたくましく個性を発揮する生徒の変化とともに教員にも変化が必要27写真左から、中学校教頭 日本語科・山口大貴先生、日本語科・土方真知先生作品集が完成すると次の単元へ。このサイクルを全単元で繰り返していく。完成した文章を作品集としてクラスでまとめた段階で、仲間の作品について寸評を書き合う。人の作品からの刺激が成長の原動力となる。納得のいく文章になるまで自分と向き合い、先生とのやりとりを繰り返し、文章を完成。クラスで作品集を作る。「私にしか言えない言葉」2023 OCT. Vol.448単元の教材本文を読み込み、クラスで議論したり、仲間と対話したりすることで、内容への理解を深める。教材の内容を理解したうえで、そこから自分が感じたこと、考えたことについて文章で表現していく。1985年創立/全日制課程普通科。「人間の自立と自由への教育を追求する深い知性・高い表現・等身大の体験」を教育理念に、点数序列主義に迎合しない独特の教育を進める。高校では100以上の選択講座を用意し、一人ひとりの生き方に結びつけていく学びの環境を提供している。 単元は説明文や古文など通常の国語科に含まれる内容を網羅しつつ、文学作品の授業を重視している。書いた文章について、語り切れていないこと、独特な視点で書けていることなど、一人ひとり個別に先生から意見をもらう。
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