キャリアガイダンスVol.448
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H、2019年度からは「地域との協働による高等学校教育改革推進事業(グローカル型)」の指定を受け、早くからてきた課題研究や理数探究のためとい〝学びの作法〟を身につけ、生徒たちが〝学ぶ意義〟に気づくためです。常識を疑い、新しい価値を見出す力がすべてのしてほしいと考えています」(教育企画部・杉本和歌子先生)は、情報過多の時代に、まわりに流されやすい生徒たちの姿に課題を感じていた。畝傍高校は2014年度からはSG課題研究に取り組んできた。2022年度には研究開発学校の指定を受け、独自の探究学習をさらに推進すべく、学校設定科目「探究基礎」を設置。今年度の1年生から実施が始まった。「探究基礎を設置したのは、従来行っうより、全教科を通じた〝学び方〟や学びに必要なことを、生徒たちに理解探究の授業設計に携わった杉本先生「生徒たちはたくさんのことを大人から問われて、大人の期待に応えることが勉強だと思ってきました。そうではなく、世の中のものごとの、自分が関心のあることに自ら問いを立ててみる。それが、学びの本質だと知ってほしいのです」(杉本先生)「進路指導でも、やりたいことを尋ねると『親はこう言っている』と答える生徒も少なくありませんでした。塾に行くのも親の指示や友達がみんな行くから。自分の意志が希薄なことが気になっていました」(教務部・中■和宏先生)周囲に流されず、誰かの描いた枠の中ではなく、自らの動機で挑戦できるような生徒の育成を目指し、探究の流れを設計していった。2年生の課題研究はグループではなく個人探究としている。一人ひとりの生徒が自分の動機と関心に基づいた、真に関心のあるテーマで自分探しをしてほしいからだ。探究基礎は1年生の学校設定科目      として、「情報Ⅰ」とそれまでの学校設定科目「グローバル英語」の時間、合計3単位を割り当て構成される。1クラスに情報科から1名、英語科とALTが各2名、探究手法を担当する教員1名の計6名の教員がつく。探究手法担当は全教科の先生が含まれており、学年を問わず探究基礎の担当者として関わっている。時間割は探究週と通常週に分け、相互が有機的に結びつくよう先生方に工夫してもらっている(図1)。「英語を探究基礎に組み入れたのは、文化背景の異なるALT相手に『自分の伝えたい』ことが『伝わらない』という環境を経験させたいからです。聞き手の概念にないことを、聞き手の『なぜ』といった問いに答えながら説明する力は、どの場面においても生かせる力だと考えています」(中■先生)「特にALTの先生はクリエイティブな方が多く、ご自身の経験から良質な問いを立てるなど、もともと探究的な授業をされていたので探究基礎にも関わっていただきました」(杉本先生)探究手法では知識だけでなく、面白い問いを発想できるように、頭を柔らかくする授業の仕掛けを含ませている。例えば1学期の最初は「自分が入れ物だと思う物」を新聞紙で作る授業から始まった。生徒たちは思い思いの入れ物を作り、入れる物やその形にした理由などを自分の言葉で説明。自分と仲間研究開発学校の取組として「探究基礎」を設置自由に柔軟な発想ができる環境や仕掛けを授業に盛り込む取材・文/長島佳子2023 OCT. Vol.44828※ダウンロードサイト:リクルート進学総研>> 刊行物>> キャリアガイダンス(Vol.448)

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