キャリアガイダンスVol.448
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生徒が自分の内面にある言葉と向き合い言語化する力を育むために、比較的手軽に取り組めるワークと書籍を集めました。日々の授業や指導の工夫にご活用ください。 紙の辞書を、“言葉を調べる”ではなく“言葉に出会う”ツールとして活用する「ワードハント」。電子辞書やインターネットとは違い、開いたページで思いもよらない言葉との出会いがあるという、紙の辞書ならではの偶発性に着目し、上田先生が前勤務校にて考案した活動だ。 ねらいは、語彙を豊かにすることで自分自身や世の中に対する認識や言葉の解像度を上げ、自己表現の幅を広げること。取組の難易度が低く、自身の学びの足跡が付箋で可視化されるので、幅広い生徒が取り組みやすい。上田先生は国語の授業の一部に取り入れていたが、ショートホームルームや自習時間などにゲーム感覚で実施するのも手だという。辞書を適当に開く。そのページを眺めて、印象に残った言葉にサイドラインを引く。付箋に日付と出会った言葉を記入し、当該ページに貼る。STEP1と2を繰り返し行う。それぞれが出会った言葉のなかで最も素敵だと思った言葉を選び、隣の生徒と口頭で伝え合ったり、Googleフォームに入力してクラス全体で眺めたり、生徒の状況に合わせた方法でシェアする。勉強することや意見を言うことが苦手でも、言葉との出会いはいくらでもできます。その出会いを教員が認めて褒めることで、すべての生徒を主役にすることが可能です。辞書が身近になり、“調べる”ツールとしての活用が増える効果も。また、気になった言葉をきっかけとして自分の興味・関心に気づくこともでき、キャリア教育として実践するのも良いと思います。(上田祥子先生)取材・文/藤崎雅子 撮影/広路和夫(33ページ)ワードハントに毎週取り組むと、1学期間でこんなにたくさんの付箋がつけられる。2023 OCT. Vol.44830

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