キャリアガイダンスVol.448
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本校には以前から、教員を志望する生徒が多くいます。ただ近年、職業選択で働き方やワークライフバランスを重視する風潮もあってか、教員を志望する生徒や保護者からこんな相談を受けることが増えました。学校の先生になりたいのですが、よく「忙しい仕事で、“ブラック”だという人もいる」と聞くので、どうすべきか悩んでいます。親からも「大変な仕事だから、やめたほうがいい」と言われて…。櫻井先生追手門学院大学心理学部教授進路指導の場面で悩む場面、ふと立ち止まる瞬間があっても、立場上、なかなか率直に相談できる相手がいなくて、お困りの先生方も多いはずです。カウンセリングの領域では、カウンセラーが自身の担当する個別のケースについて、熟練した指導者と対話し、自身のカウンセリングの過程や問題点を振り返ることで、よりよいカウンセリングのあり方を模索する手法があります※。この連載ではキャリア・カウンセリングの専門家である三川先生と現場の先生方の対話を通じて、現場の先生ご自身が「よりよい進路指導のあり方」を考えていく様子をレポートします。※「スーパービジョン」という手法。事例をもつカウンセラー(スーパーバイジー)と指導者(スーパーバイザー)で行う。私自身は自分の働き方を「ブラック」とは思いません。ただ職場環境をどのように捉えるかは、赴任先の環境や本人の主観によるところが大きく、どうとも言い難いのが正直なところです。ニュースなどで教員の働き方が問題視されることも増え、保護者から「本人は教員になりたがっているが、心配だ」という相談を受けることも。私が安易に、教員の魅力ややりがいを伝えてはならないような気がしてしまいます。37高3の生徒Cさん…「ブラック」だと感じている人も、そうとは思っていない人もいるので、一概には言えないのだけど…。2023 OCT. Vol.448取材・文/塚田智恵美撮影/平野 愛追手門学院大学心理学部教授。カウンセリング心理学専攻。大阪大学大学院人間科学研究科博士前期課程修了(学術修士)。スーパーバイザーなどとして活躍。2023年5月まで日本キャリア・カウンセリング学会で理事・SV委員長を務めた。 監修&アドバイス三川俊樹先生県立高校 教務主任 櫻井先生(仮名) 40代前半次ページではこのケースについて、三川先生と対話していただきました。

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