キャリアガイダンスVol.448
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三川働き方についての捉え方は、本人の意櫻井保護者の方は、長く、健康に勤められ三川なるほど…。余談なのですが、私のと識次第でもあると。ところが櫻井先生のもとには、保護者からも「学校の先生は忙しいので、職業として就くのは心配だ」といった声が届いていると。保護者の方は何を心配されているのでしょうね。る仕事に就いてほしいと願っている。ただし、これは一概には言えないのですが、例えば「保健室登校をしていたが、先生に支えられて教室に復帰できた」など、先生に手を差し伸べてもらった経験から教員を志望する子も多くて。生徒自身は「自分も、あんな先生になりたい」と憧れているのですが、保護者のほうは「うちの子はメンタルが強くないのに、学校の先生のようなハードな仕事はきついのでは」と心配して…。ころにも「心理学部に入って、先生と同じカウンセラーを目指したい」と相談にくる高校生がいるんです。易しい仕事ではない、ということを重々わかっているから、いつもは安易に背中を押せませんが「つらかった時期にスクールカウンセラーの先生に支えてもらって…」などと切実な志望動機を語る生徒には、思わず「待ってるね」と言ってしまう。自分の過去を乗り越えようとしている思いを肯定したいと感じて…。お気持ち、わかります。過去につらい経験をしたことがある、という一つの事実をもって決めつけてしまうのはどうか。それよりも、生徒の小さな成長を丁寧に見つめ、信じたいです。ひょっとしたら保護者の方には見せない面を、学校では見せているかもしれません。教員の仕事は不安を募らせることではなく、成長を見て信じることだと今、改めて感じました。保護者が子どもの成長を信じられていないとしたら、足りないのは何でしょうか。保護者と生徒の対話ですね(気づき③▼)。進路についてじっくり話している家庭はかなり少ないです。教員には話せるが、親には話せないという生徒も多いように思います。保護者と生徒の対話が不足していて、親が子どものことを信じきれない。また子どものほうも自分の思いを伝えきれていない。だから「学校の先生の仕事はブラックらしいから、やめておこう」などという結論につながっているのかもしれません。教員の関わり方ばかり考えていましたが、保護者と生徒の対話を促すことも大切ですね。  保護者と生徒の対話が大事だとわかりつつも、どこかで「家庭の問題だからどうしようもない」と思おうとしていたところがありました。三川先生とお話ししながら、三者面談の前に「親御さんとこんな話をしてみて」と声をかけるなど、教員にも対話を促すことはできると感じました。あらゆる職業に、人によってはネガティブに捉えられる環境や条件等があるものです。ただ、自分が就いている職業は特別に、いろんな事情が見えやすいのですよね。昨今の教員をめぐる社会の議論もあって、教員を志望する生徒の背中を押していいものかと自信を失っていたのかもしれません。でも、私がそんな姿勢でいては、思いをもって教員を目指している生徒の芽も摘んでしまいかねないと、痛感しています。教員としてのやりがいや魅力は、やはり生徒に伝えていきたいです。 「ブラックだから、できればやめてほしい」と言ってしまう保護者、それを聞いてすぐ諦めてしまう生徒、両者の対話不足の問題も大きいです。教員である自分が生徒にどう関わるかばかり考えていましたが、教員には「対話を促す」という役割もあることを改めて自覚しました。対話が始まるきっかけを与えたり、家で保護者と話をしたくなるような関わり方をしたりすることは、教員にもできるはずです。三川先生との対話を通じて、自分にできること、これからやるべきことに気づきました。櫻井三川櫻井三川先生との対話を終えて現場の先生が振り返る成長と可能性を信じるには保護者と生徒の対話が必要気づき③ 櫻井先生のお話からは「教員に向けられる世間の目が厳しくなっていて、やりがいや魅力を感じていても、伝えるのに躊躇してしまう」葛藤を感じました。昨今、労働環境など仕事の実態について、情報が手に入りやすくなった反面、ネガティブな情報が生徒たちの目に入る機会も増えています。そんな時代だからこそ、私たち大人は、苦しい面だけでなく、仕事のやりがいや魅力、誇りも、若い世代に伝えてい392023 OCT. Vol.448本連載で三川先生と対話してくださる先生を編集協力委員のなかから募集しております。ぜひ、編集協力委員にご登録ください。詳細は66ページをご覧ください。かなければ。仕事の魅力を伝えるのは大人の義務と言ってもいいかもしれませんね。また後半、櫻井先生が、保護者と生徒の対話の重要性について言及されました。そのきっかけ作りの一つとして「キャリア・パスポート」があります。生徒自らが、自分のキャリア形成を見通したり振り返ったりしながら、記録していく。これに保護者がメッセージを記入する。そのときにぜひ親子で、対話の時間を設けていただきたいのです。大事なのはコメントをもらう作業ではなく、それを通じて親子の対話が生まれること。現場の先生方には、その対話が生じるように促し、声をかけていただけると嬉しく思います。

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