■■■■■■■■■■■■■■■■ 1875年創立の本校は、広島県でも有数の歴史を誇ります。私の母校でもあり、親鸞聖人のみ教えに基づく、仏参や宗教の授業などでの「心の教育」や、文武両道の伝統を引き継いでいくとともに、社会の変化に伴い革新を続けていかなくてはいけません。3年前の男女共学化は、その表れの一つでした。 男女共学にしたことで多くの変化が生じています。150年近く男子校できたため、教育内容から生活指導の見直しまで検討事項は多岐にわたりました。例えば、全クラブの顧問と協議して女子の受け入れ態勢を整備しました。私が長く指導してきたボクシング部にも女子が2人入部しました。水泳部や弓道部の女子の成績は既に県のトップクラスです。既存のクラブも負けてはいません。特に、3年連続で全国最優秀賞を受賞した新聞部の活躍には目を見張るものがあります。年3回発行の本誌に加え、毎週のように速報版が廊下に掲示されます。5月のG7広島サミットでは、「高校新聞部の限界に挑戦」の掛け声の下、特別編成を組んで16ページの紙面を制作。感動的崇徳中学校・高校412023 OCT. Vol.4481875年創立。校名の由来は、親鸞聖人の『仏説無量寿経』にある「崇譲」から。特別進学コース、進学コース(含む仏教コース、スポーツクラス)。2019年、3つの校舎(興仁館、慧光館、清光館)が完成。「探究のもり」と名付けられたラーニングコモンズでは、総合学習や探究活動などに活用。2020年特別進学コースに、翌2021年には中高すべてで女子生徒を受け入れる。な内容で、マスメディアからも絶賛されました。 コロナ禍で十分な課外活動ができなかったのは心苦しいですが、「思い出をつくりたい」という共学一期生の女子生徒有志の発案で、学校全体を巻き込んだ学校PR動画が制作されるなど、主体的な動きも目立ちました。 こうした生徒の活躍を称えたい。その思いから新たに校長賞を創設しました。「英語教育を盛り上げよう」という英語科や特別進学コースの教員、進路指導部の提案で、英検準1級以上の取得者を顕彰し、崇徳奨学生に認定するものです。今後、「これも校長賞に値する」という提案があがってくれば前向きに検討したいと思います。 本校はSotoku Pride、すなわち「自分の考えで、何事にも主体的に実行し、他者をリスペクトできるしなやかな心」をもって、未来を生き抜くことができる生徒を育成することを教育目的として掲げています。あわせて、そのために育てたい8つの力として、思考力、自己肯定力、発信力などを拳げています。前校長による強いリーダーシップの下に策定されたものであり、教育目的を明確にし、具体的な能力に落とし込んだことがポイントです。私がするべきことは、まずはこれを浸透させること。教頭歴も浅い私が一昨年、校長職を拝命した際は戸惑いもありましたが、置かれた立場で全力を尽くすのが信条です。 校長就任を聞きつけた昔の教え子からは、多くの花が届きました。生活指導を通して一人ひとりと真剣に向き合ってきた教師として、添えられたメッセージに照れ臭さも感じたものです。聴く力、吸い上げる力を大切にクラス運営などをしてきたつもりですが、そのスタンスは変わりません。そのうえで、決断し行動につなげるのがリーダーの役割。2025年には150周年を迎えますが、さらに50年先を見据えた学校づくりをしていくつもりです。まつお・こうじ/1964年生まれ。同志社大学文学部卒業後、崇徳高校に国語科教員として採用。以降、一貫してボクシングの指導にあたる。基礎の徹底に加え、目標設定の下、勝つためにはどうするべきか自分で考えるよう指導。20代後半で2年連続インターハイチャンピオンが誕生し、指導に自信をもつ。その後もインターハイに30回出場するなど実績を積む。国体の広島県監督ほか、女子ボクシング黎明期に全日本のコーチ経験も。現在、広島県高体連ボクシング部専門部長。生活指導部長、副教頭、高校教頭を経て、2022年より現職。仁、務徳興修礼まとめ/堀水潤一 撮影/半場正浩共学化で活性化する課外活動生徒の自主性にも期待(広島県・私立)教育目的を明確にし8つの力に落とし込む
元のページ ../index.html#41