● 後期…地域の課題解決に実践的に取り組む。例:佐世保の英語教育を活性化するため、子ども向けの英語遊びを考え、保育園で実践する。● 後期…自分の興味・関心のあるテーマや大学で学びたいことについて、「問題発見・問題解決・データ分析」の視点を意識しつつ深めていく。2017年度から授業改善と地域課題探究に取り組んできた佐世保西高校。2020年度に同校に赴任した植島雄飛先生は、試行錯誤しながら探究のあり方を模索してきた。当初、地域課題探究は、探究をベースに 課題を設定し、深掘りする…というカリキ学校教育を設計しようという当時の校内の意向と、長崎県が推進してきた郷土愛の醸成を掛け合わせ、「ふるさと教育」を軸とした取組としてスタート。教科の授業改善と両輪で進めていたが、進学校という背景もあり、「実態としては、教科と探究が結びついていなかった。扱うテーマも手法も、〝探究〟として十分な域には達していなかった」と植島先生は当時を振り返る。この事態を打開するため、2018年度に「総合的な探究の時間プロジェクトチーム」が発足。各学年3〜4名の教員からなるメンバーを中心に、探究を推進することとなった。2019年度からは、1年次〜2年次前期は「地域課題探究(ふるさと教育)」で探究の基礎や地域(佐世保)について学ぶ、2年次後期は「文理別課題研究」で地域の課題解決にグループで取り組む、3年次前期は「個人探究」で自分の興味・関心に応じてュラムに基づき授業を展開。プロジェクトチームがまず見直したのが、基礎となる「探究的視点・手法とは何か」という部分だった。「問題発見、問題解決、データ分析と、探究の視点を3つに整理し、それぞれについてプログラムを考案しました。問題発見プログラムでは、教員がファシリテーターになって生徒にさまざまな問いを投げかけ、生徒に何が課題なのかを考えてもらいます。また、問題解決プログラムでは、同じ問題でも人や立場により視点が異なることを例を挙げながら伝えます。最も重視したのが、データ分析プログラムです。理科の教員と連携し、実際に実験をしてデータを集計・分析するというプロセスを生徒に体感してもらいました」2020年度からは三菱みらい育成財団の助成金を受け、外部機関との連携を進めていった。「2年次後期の文理別課題研究では、コロナ禍のなかでしたが、長崎国際大学、長崎大学、九十九島水族館海きららなどの地域の外部機関の協力を得ながら学びを深めていきました。成果物として理系は論文集にまとめたほか、文系は地域の人へのインタビューを『SASEBO仕事図鑑』としてまとめたり、クラウドファンディングで海きららにまつわる絵本を出版したり、地元企業と共同で商品開発を行ったりと、グループごとに工夫が見られました」校内で探究が盛り上がる一つの契機となったのが、2021年度の3年生の個人探究の質の高さだった。当時の3年生で現在ふるさと教育を軸に、地域課題探究が始動探究の真の成果を追求し、カリキュラムを見直す【地域課題探究(グループ)】探究の基礎を修得し、地域課題の発見・解決に取り組む。● 前期…探究の3つの視点「問題発見・問題解決・データ分析」について学ぶ。問題発見プログラムでは、自分が好きなものについて探究的な視点で調べ、データなどを盛り込みながらスライドを作成・発表する。【文理別課題研究(グループ)】【個人研究(個人)】「地域×学びたい分野」で地域課題にアプローチする。● 前期…興味・関心のある分野や大学で学びたい学問領域の視点から地域課題にアプローチ。10月には1年生に向けて成果発表を行う。【個人探究(個人)】自分の興味・関心、学びたいことを深掘りし、進路・キャリアへつなげる。● 前期…2年次後期からの個人探究をさらに深める。総合型選抜や学校推薦型選抜に出願する生徒は、探究のプロセスを振り返り、準備を進める。432023 OCT. Vol.4481964年創立/普通科/生徒数707人(男子314人・女子393人)/進路状況(2023年3月卒業)大学175人、短大4人、専門学校23人、就職3人、そのほか19人総合的な探究の時間プロジェクトチームチーフ・キャリア支援部副主任の植島雄飛先生。取材・文/笹原風花● 年間スケジュール2022年度からスタートした総合的な探究の時間。実践のヒントとなる探究の事例をご紹介します。現場で試行錯誤が続くなか、
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