子大学附属高校は、自主・自律の精神の下、生徒のやりたいことを尊重する自由な校風の女子校だ。2014年からスーパーグローバルハイスクール(SGHらはスーパーサイエンスハイスクール(SSH)の事業を受託。長期にわたり、「探究力」をはじめとする基礎的・汎用的能力の育成に力を入れてきた。としている人材像は、複雑化する日本社会の行き詰まりを打破して未来を描くための協働的行動ができる「協働的イノベーター」、および「イノベーションを支える市民」だ(図1)。必要な資質・能力として、「協働性」「創造性」「科学的探究力(科学的に捉える力・自然界への関心/課題を発見する力/仮説を立てる力/実験する力/考察する力)」「表現力」「国際性」の育成に力を入れている。SSH事業を活用した「探究力」育成プログラムは、キャリア教育を重要な要素の一つに位置づけて開発。これを同校キャリア教育の核として、全生徒を対象に展開している。進路指導主事の玉谷直子先生はこう語る。 「社会のさまざまな課題に対し、感情的になるのではなくエビデンスに基づいて考えることは、理系に限らず全員にとって大切です。データを読んで分析したり、実験をして結果を検証したりする力を身につ140年以上の歴史をもつお茶の水女現在取り組んでいるSSH事業で目標け、それぞれの将来に活かしてほしいと考えています」プログラム内容を具体的に見ていこう。まず1学年で重視しているのは、さまざま)、19年かなことに興味・関心をもつという、探究力の基盤づくりだ。各教科でそれぞれの分野への関心を高める授業を行うとともに、総探や学校設定科目において生徒の好奇心を刺激している。その一つである総探の「新教養基礎」では、お茶の水女子大学の教員が年10回、それぞれの研究分野について講義を行う。講義テーマは、日本近代史の先生による「変わりゆく社会を見つめる」、物理学の先生による「物事に法則を見つけ出す」など多岐にわたる。その教員がどのように専門分野に取り組んできたかについても語られ、多様なキャリアのロールモデルを提示する意味もあるという。毎回、生徒は事前に講義テーマに関す る質問を用意して講義に臨む。講義の合間には何度か生徒同士で感想や気づきを語り合う。終了後は各自で振り返り、講義テーマの今後の展望を自分なりに考えて文章にまとめる。 「これを10回繰り返すことで、問いを立てる力や、思考を深める力が相当鍛えられていきます。大学附属校であることを活かした取組ですが、近年は多くの大学が積極的に出張授業を行っているので、このような取組を行うハードルは下がっている自主・自律の精神の下探究を核とするキャリア教育身近なところにも目を向け興味・関心を広げていく取材・文/藤崎雅子2023 OCT. Vol.44848長年重視してきた「探究力」の育成に、近年はSSH事業として取り組むお茶の水女子大学附属高校。科学的探究力 文系も取り組むSSH 家庭科の活用 総合的な探究の時間生徒の多様な興味・関心や力を引き出し、進路目標にもつながることが多い科学的な探究力の育成プログラムの実践についてご紹介します。 大学・地域・企業との連携 教科の見方・考え方を活かす
元のページ ../index.html#48