キャリアガイダンスVol.448
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と思います」(玉谷先生)また、SSHに直結する興味・関心の醸成として、家庭科の学校設定科目「生活の科学」を設定。理数科目への苦手意識をもつ生徒が多いことから、「食の安全」や「布の草木染め」など実生活の中にあるものを題材にして、科学的な問いへの興味を喚起している。イノベーションを起こしている企業経営者や化学科教員などとも連携し、実験や実習を交えながら学ぶ。「かつてのSGH事業の探究活動では、テーマが壮大になり解決策にたどり着きにくい難しさがありました。そこでSSHでは、非常に科学的な教科である『家庭科』の特徴を活かし、まずは自分の足下を見つめて目に見える実験や検証を経験することからスタートしています」(玉谷先生)興味・関心の喚起と並行し、1学年「課l 「」で 指数関数や対数関数、情報科ではExce題研究基礎」では科学的探究のプロセスに必要な知識・スキルの育成を図る。大学教員による図書館活用の技法やプレゼンテーションの心得などの特別講義のほか、数学科・理科・情報科が「数」「グラフ」「データ」という共通テーマについてそれぞれの知識・技能を〝探究のツール〟として指導。例えば「グラフ」がテーマの場合、数学ではでのグラフ作成、理科(生物)では暖かさの指数を基に回帰直線を引いてみるなど、異なる角度からアプローチする。プログラム開発担当の朝倉彬先生はこう話す。「それぞれ教科の見方・考え方があることを学び、共通する部分を生徒自らが把握できるように授業を組み立てています。学んだ内容をすぐに体験的に活用してみる機会も設定し、3学期には入門的な課題研究に取り組みます」2学年の学校設定科目「課題研究Ⅰ」では、自然科学、社会科学、人文科学を網羅した8分野に分かれ、個人またはグループでテーマを設定し、1年間にわたって研究活動に取り組む。例えば、物理と地理の教員が担当する「地球環境科学」分野3学年2学年1学年「教える」ではなく質問生徒の自走を促す2023 OCT. Vol.4481882年設立/普通科生徒数366人(女子のみ)進路状況(2023年3月卒業生)大学93人・その他27人東京都文京区大塚2-1-1 03-5978-5856進路指導主事玉谷直子先生課題研究Ⅰトライアル&エラーを繰り返す時間を確保し,課題研究基礎科学的方法論による総合「探究入門 〜 問いを立てる〜」課題研究Ⅰを深化・充実させ新しい発見・価値を創造して研究成果を学会等で広く発信する科学的根拠に基づき価値判断・意思決定・合意形成する力を培う関心が高い分野で自ら課題を設定および客観的論証を行うことで,対話的で深い学びを行う探究的な学習の知識・技術を身につける探究に向かう関心・意欲・態度の育成様々な分野で活躍するお茶大教授陣による講義の定常化約140年前に東京女子師範学校附属高等女学校として創設された日本で最初の高等女学校。学習における基礎・基本、自主・自律の精神、互いに協力していく態度を身につけることを重視。2014〜18年度にスーパーグローバルハイスクール、19年度よりスーパーサイエンスハイスクールの指定校。第15回キャリア教育優良教育委員会、学校及びPTA団体等文部科学大臣表彰。[分野]・自治会活動・文化祭・諏訪合宿 修学旅行・海外研修 −台湾研修・学外の活動 −物理学・生物学FW −福島FW・大自然科学部 −自然観察FWSSH担当朝倉 彬先生研究主任沼畑早苗先生〜協働的イノベーターとイノベーションを支える市民の育成〜図1 探究力育成の核となるSSHの取組の全体像(同校資料より編集部にて作成)総合「持続可能な社会の探究」各教科の学習・理数科目・家庭総合・国語 −自分の考えや意見を  論理的に述べる・英語 −科学論文を読む  活動 −アブストラクト作成・地歴・公民 −課題意識を高める49女性の力をもっと世界に課題研究Ⅱ生活の科学世界を牽引する科学技術人材お茶の水女子大学の全学的連携と支援特別活動&それを支える社会の構成員様々な学びを統合し、新たに生じている社会的問題や合意形成が難しい問題を多角的な視点で捉え一市民として主体的な思考・意思決定力を育む数理・情報科学/暮らしの化学/生命科学/地球環境科学/色と形の科学/芸術文化と科学ー音楽学/芸術文化と科学ー文学/社会科学「生活」を題材とした学びによる科学的に捉えることへの興味喚起

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