8特集「私にしか言えない言葉」えなければならない場面が、一昔前からでは考えられないくらいに増えたように感じます。ブログなど自分の考えや思いをまとめるシーンのみならず、チャットアプリ等で日常連絡や自分のカジュアルな感情を送信するシーンまで含めると、私たちは日々話し言葉に加え、「書き」言葉とも長時間向き合っていることになります。果たしてその時、私たちはきちんと自分の伝えたいことを、どのくらい表すことができているのでしょうか。編集部内で議論をした際も、「ついつい無意識に、『それはやばい』など、抽象的で耳障りのいい言葉を使ってしまう」といった声が挙がりました。しかし、言葉にするとは、本来自分の内なる声と向き合う作業だとしたら、日々の言葉の使い方が、自分の気持ちや自分自身を理解したり、あるいはありたい方向性に少しずつでも思いを向けられる機会になるのでないかと考えました。言語化の技術やノウハウの話ではなく、その手前にある言葉にする前のもやもやとした部分に向き合ってみたい。その積み重ねが、「私にしかぜひ、誌面探索をお楽しみください。世の中を見渡してみると、言葉にして伝言えない言葉」につながっていくとしたら。2023 OCT. Vol.448
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