茨城県常陸大宮市にある小瀬高校は、各学年1クラスの小規模校。少人数ならではの、きめ細やかな進路支援が特色だ。同校では、学習指導要領の改訂に先立ち、2020年度から探究活動のあり方を模索してきた。中心になって取組を推進してきたのが、金子容子先生だ。探究活動を「生徒の学びを充実させるチャンス」と受け止め、有志の教員に呼びかけて「探究活動を通して生徒にどのような力をつけてほしいか」を深めていった。「探究活動では、何を・どのようにするかが議論されがちだが、そもそも何のための探究活動なのか、生徒にどうなってほしいのかというゴール設定が重要だと考えた」と金子先生は振り返る。そこで、最初に取り組んだのが、ルーブリックづくりだ。「主体的に自分の人生を生きる力」「人間関係形成力」「課題を発見し解決に向けて取り組む力」「持続可能な発展に貢献するための力」の4つを軸に、それぞれに小項目を立て、目標を設定していった。並行して、教務担当者と協働で具体的なカリキュラムを考案。2021年度から、3年間で5単位の総合的な探究の時間のうち2年生の2単位を「未来創生学」と位置づけ、地域をフィールドにした探究活動を行うこととした。その頃、金子先生の目に留まったのが、認定NPO法人カタリバによる小規模校を対象とした「学校横断型探究プロジェクト」だった。同プロジェクトは、定期的に複数校をオンラインでつなぎ、生徒同士の交流会や講演会、テーマ別のゼミ、教員向け勉強会などを開催するもの。小規模校が抱えるリソース不足を学校の枠を超えた連携により補完することを主な目的とし、2021年度から本格的に始動した。「当時は未来創生学を始めることは決まっていたものの手探りの状況だったので、オンラインで他校の生徒や先生とつながれる、外部の人に相談ができる、定期的な活動があることで見通しが立てやすいなどメリットがたくさんあると感じ、すぐに管理職に相談して参加を決めました」(金子先生)こうして2021年度から始動した小瀬高校の探究活動。「試行錯誤しながら少しずつブラッシュアップしてきた」と金子先生は振り返る。2022年度にはワーキンググループが発足し、学校のグランドデザインを見直し、それを基にルーブリックを練り直した。より端的で生徒にもわかりやすいものに、探究だけでなく他教科にも通じるものにしようと、「自分を大切にする」「他者とつながる」「地域・社会に関わる」の3つの軸に再編。2023年度からは、それぞれの小項目について3つのステップを設けたルーブリックを使用している。現在は、2年次の未来創生学を柱に、3 年間を通して自分の興味・関心を突き詰探究のゴール設定を重視し、ルーブリックづくりから着手地域の人や他校の生徒と交わり、視野を広げ内省を深める探究の基礎を身につけ、2年次の土台を構築する前期は、探究活動に必要なスキルやマインドを醸成する。①リサーチやアクションに必要なスキルを獲得する(情報収集と精査、統計の取り方など)、②自分の興味・関心を探る、③豊かな自己表現を目指す、などを意識した活動を行う。後期は、グループで実際に探究活動を試行し、社会課題に触れる。「未来創生学」として本格的な探究活動を実践する前期は、地域課題(食、農業、林業、町づくりなどあらかじめテーマを用意)からグループで探究活動を行う。後期は、前期のテーマを深めても、自分で探究したい内容にシフトしてもOK。学校横断型探究プロジェクトや「IBARAKIドリーム・パス」※に参加。※高校生を対象に、地域の課題解決や自分の夢の実現に向けた企画立案・実践活動を支援する茨城県教育委員会の取組。変化・成長した自分をリフレクションする探究活動を通してどのような力がついたのか、どのような気づきがあったのかを整理する。自分自身をメタ認知して言語化することで、就職面接等に活かせる力が認識できるようにする。432024 JAN. Vol.4491899年創立/普通科(特別進学コース・教養コース・福祉コース)/生徒数94人(男子69人・女子25人)/進路状況(2023年3月卒業)大学4人、短大1人、専門学校5人、就職12人写真左から、特別活動部長の金子容子先生、進路支援部・2年生副担任の小松﨑真未先生。取材・文/笹原風花● 年間スケジュール2022年度からスタートした「総合的な探究の時間」。実践のヒントとなる探究の事例をご紹介します。現場で試行錯誤が続くなか、
元のページ ../index.html#43