本校は2023年に開校した全日制普通科高校です。仙台の学校法人がなぜ沖縄市に高校を創ったのか。きっかけは、かけがえのない人命が失われた東日本大震災でした。校舎の建て替えを余儀なくされるなど復興に追われる日々が落ち着いたころ、学園関係者で沖縄を訪れる機会がありました。心の平静を求めるとともに海とも向き合おうと考えたのです。 そこで沖縄の方々と接し、不登校や中途退学などの教育課題を目の当たりにしたことで「仙台育英学園高校 広域通信制課程ILC沖縄」を設置したのが2014年のこと。すると在校生を中心に「全日制課程もできないか」という声があがってきました。校名に仙台とつくことから"外様"と思われていると考えていただけに背中を押された気分でした。ただ、既に多くの高校があるなか私たちにできることは何か。校舎を置く県中部の方々のニーズや産業構造の偏りを考えたとき、ICTエンジニアの育成こそ急務と確信しました。私たちにはそのリソースがあります。震災後、仙台育英学園高校に設置した情報科学コー仙台育英学園沖縄高校472024 JAN. Vol.4492023年開校の全日制普通科高校。1期生35人。生活信条七箇条(互譲、切磋、練磨、規律、寛容、感謝、奉仕)に則り現在と将来の自立を目指し、情報技術によって生まれる新しい絆を育むICTエンジニアの育成を教育目標とする。黒と赤を基調としたICT室には高スペックのゲーミングPCを配備。投資部ほか、eスポーツ部、なぎなた部、ライフル射撃部、ダンス&チアリーディング部も。スのノウハウもそうですし、学園全体のICT環境を責任者として整備した経験もあります。 ICTの利点は、意志と能力さえあれば場所を選ばず起業できることです。そこでICTをIndependence,Chance,Tryの頭文字と読み替え、自立、チャンス、挑戦を重視。ICT分野を中心に起業・就職し、経済的な自立を促します。3年次には学びの集大成として各自創業計画書を作成する予定です。起業せずとも、就職先で自ら新しいことを起こすとき、この経験は活かされるはず。進学を目指す際も成果物としてアピール材料になるでしょう。 投資部という部活動も立ち上げました。正課の授業で学ぶ金融教育も大切ですが、より生々しいお金の流れを知ることで社会の仕組みを理解してほしい。そう考え、学園の資金100万円の運用権限を与え、実際の株式売買を生徒たちが行っているほか、クラウドファンディングで投資原資も募っています。年度末の決算報告が楽しみで仕方がありません。 ICTの進化によって、時と場所を選ばず学び続けることも容易になりました。私自身、校長就任にあたり一家で沖縄に越してきましたが、今も宮城大学大学院の後期博士課程に籍を置き、主にオンラインで学んでいます。 ただし、「学びたい」「学ばなければ」と思ったときに学び続ける力が備わっていなければ難しい。そのため3年間かけて「学び方を学ぶ」ことに注力します。その力さえ身につけば卒業後、どこに行っても、どの段階にあっても、自らを高めることができるでしょう。 理事長を務める父も同じことを話していましたが、私は自分を教育者だとは思っていません。浅学非才の身ということもありますが、教えながら学んでいる、あるいは学んだことを教え合っているだけだと感じています。福沢諭吉翁の言葉を借りるならば半学半教。この精神を生涯大切にしたいと思っています。かとう・せいいち/1991年生まれ。慶應義塾大学経済学部在学中、東日本大震災を機に地元宮城県で教育に関わる決意を固める。同大学院経営管理研究科では学校法人のリスクマネジメントなどを研究。在籍中に学校法人仙台育英学園理事に就任。2016年秀光中等教育学校(現秀光中学校・仙台育英学園高校)社会科教諭、常務理事。翌年秀光中等教育学校・仙台育英学園高校 校長室長。2023年4月より現職。この間、宮城教育大学教育学研究科修了。現在も宮城大学大学院事業構想学研究科後期博士課程に在学するなど学び続ける姿勢を体現。まとめ/堀水潤一 撮影/赤嶺元輝きっかけは東日本大震災自立、チャンス、挑戦の機会を(沖縄・私立)生涯にわたり学び続けられるだけの力を
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