キャリアガイダンスVol.449
49/64

導■係は、「自律的に学べる生徒を育てる」なりたい姿の実現に役立てるものと捉え、『教員が教える・生徒は教わる』から『生徒が自ら学ぶ・教員はそれを支援する』というマインドセットに変えていきたい。目新しい考え方ではありませんが、そのためのスキームを学校としてしっかり作っていきたいと考えています」そう話すのは、学習支援係主任の鈴木健斗先生だ。以前は進路指導の補佐的な位置づけで出口対策を行っていた学習指■というビジョンをもつ学習支■援■係となった。専任担当者のほか、各学年団、探究、情報、 進路、国際など多様な係からもメンバーに入る横断的な組織編制で、学校全体を有機的につなぐハブとして学びのデザインを担当している。現在、この学習支援係中心に、生徒に時間を返すことを起点とする、学びの好循環の仕組みづくりに取り組んでいる(図2)。活動など多くのことを抱えており、「自由な時間がない」「うまく勉強時間がとれない」「一日48時間欲しい」という声が上がっていた。生徒の自己調整を可能にするためには時間のゆとりも必要ではないかと、今年度より授業時間を55分から50分に短縮した。下校時刻は30分繰り上げ、部活の終了時刻も早めるよう徹底的な取組を行っている。り、教員はそれぞれ工夫して授業を効率化した。10月に実施した生徒への「学びの意識調査」では、「日々の授業を集中して受けられている」は76%と、5月より8ポイントも上昇。新体制は順調に滑り出し生徒たちは日々の勉強や探究活動、部同時に推進するICT利活用などによている。 「生徒にも教員にも、前向きな気持ちや自由な発想の基になるゆとりができたのではないでしょうか。学校現場は疲弊していくばかりの状況で、思い切った取組も必要かもしれません」(鈴木先生)しかしながら、単に時間的なゆとりがあるだけで、学びの質が向上するわけではない。生徒アンケートには「学び方がわからない」「見通しをもって学べていない」という声も目立つ。「ゆとりを生徒自らが学びにつなげてこそ、学びの循環を回していくことができる」というのが同校の考えだ。「そこが最も難しい。多様な仕掛けが必要」と鈴木先生は指摘する。そんな仕掛けの一つとして、今年度、毎週月曜日と金曜日の放課後に30分間のオフィスアワーを設置。部活動や職員会議などの予定は入れず、生徒が自由に教員の席を訪ね相談や質問ができるようにした。生徒が話しかけやすいよう、あえて仕事の手を休めて過ごす教員もいる。利用したことのある生徒数は、開始直後の5月時点では約120人だったが、10月には200人を超え、利用は着実に拡大。各教科の勉強や進路、探究活動などのさまざまな内容で教員と対話している。 「これまで教員に相談したくてもできなかった生徒にとっては、良いきっかけになっているようです。まだ利用者が多いとは言えませんが、自ら進むヒントを掴む生徒がゆとりを生徒自ら学びへ。オフィスアワーで支援1923年設立/普通科・探究科生徒数971人(男子450人・女子521人)進路状況(2023年3月卒業生)大学226人・短大1人・専門学校6人・その他進学4人・就職1人・その他72人長野県松本市県2-1-1 0263-32-1142探究学習推進係主任宮坂正議先生2023年に創立100周年を迎えた伝統校。「縣陵」が愛称。初代校長の遺訓「質実剛健であれ」「大道を闊歩せよ」「弱音を吐くな」は縣陵三大精神として代々受け継がれ、現在はスクール・ポリシーにも組み込まれている。2018年に探究科を新設し、探究的な学びを本格的に開始。探究をコアとした進学型単位制カリキュラムづくりを推進している。     学びの質が向上する深く思考し、柔軟に判断するための自分の道を知り、歩んでゆくために、他者と世界を切り拓いてゆくために、あきらめずに 2024 JAN. Vol.449時間を返すゆとりが生まれる進路支援係副主任塩原 潤先生学習支援係主任鈴木健斗先生図1 松本県ケ丘高校の生徒育成方針三大精神による探究を実践し続ける縣陵人を育てます。質実剛健であれ大道を闊歩せよ弱音を吐くな図2 目指す学びの循環49確かな知関わる力挑戦する力生徒が自ら前に進む力

元のページ  ../index.html#49

このブックを見る