Service"学に限らず高等教育機関は、さまざまな改革を迫られています。やるべきことは山積みですが、枝葉が大きくなるあまり、幹を見落としてはなりません。関西学院大学にとっての幹とは日々の教育活動のこと。本学には熱意あふれる教員が揃いますが、今後も採用に際しては、研究分野にこだわりすぎず、教育者としての資質を重視したい。それによって学生が成長し、幹の部分が社会的にも評価されることで研究にも還元されると考えます。また、社会のニーズが変化し、リソースも限られるなかで教育の価値を最大化するために、どの学問領域に力点を置くかという視点も欠かせません。2021年に理系分野を再編しましたが、引き続き教学組織の見直しも進めます。神戸市と交渉を進めている灘区の王子公園エリアの用地取得もその一環です。関西学院大学創立の地における新キャンパス構想の全体コンセプトは、「自分で、みんなで。未来を起動するオープンイノベーションパーク」というもの。本学はこれまでもJAXAとの共同研究や、南極における天文観測、パワー半導体ウエハーに関する研究開発会社の設立など、学外の多様な機関と連携し、特色ある研究を行ってきました。今後も、地の利を活かし、国や自治体、民間とも協働し、情報系を含む理系教育を充実させていきたい。幹がしっかりしてこそ、地域連携、社会連携も実のあるものになるはずだと考えています。もう一点、着手したいのは「英語の関学」の復活です。海外からの留学生数はコロナ前に戻りつつありますが、日本人学生を海外の協定校に送り出すのは、円安・物価高の影響が大きく簡単ではありません。長期留学者を今の倍程度にするためにも、経済的・制度的な支援に加え、ベースとしての言語教育を全学規模でさらに充実させる必要があると感じています。海外に限らずアウェイに身を置くことは貴重な成長の機会です。そこで、所属学部という、いわばホームでの学びに加え、アウェイでの挑戦を促す「ダブルチャレンジ制度」を2018年度から全学で始めました。2024年度からは、世界を知る「インターナショナルプログラム」を重点化させる形で、名称を「グローバルチャレンジ制度」(仮称)へと変更。全学生に受講を強く推奨します。受講生はグローバル人材に求められる、主体性、タフネス、多様性への理解が養われるでしょう。初代学長は、"Mastery for 本 かに物差し、いわば世界観が必要です。奉仕のための練達)というスクールモットーを提唱し、人類のために自分を鍛え強くあれ、と訴えました。では、どうすれば自己を修養できるか。一つは、何が問題であるかを意識することです。それを見極めるためには自分のなもう一つは、卒業してからも学び続ける基礎を養うこと。そのためには、専門分野の対象を科学的に調べ一定の結論を導く思考法を体得することが重要です。粘り強い学習を通して自己を修養してほしいと願います。53学長プロフィール もり・やすとし●1967年生まれ。大阪市立大学法学部卒業。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得退学。東京大学社会情報研究所助手、大妻女子大学社会情報学部専任講師を経て、2003年関西学院大学社会学部専任講師。2014年同教授。同大学社会学部副学部長、先端社会研究所所長、社会学部長・社会学研究科委員長を経て2023年4月より現職。専門はマス・コミュニケーション論、情報社会論、危機管理論。大学プロフィール1889年創立。神学部、文学部、社会学部、法学部、経済学部、商学部、人間福祉学部、国際学部(以上、西宮上ケ原キャンパス)、教育学部(西宮聖和キャンパス)、総合政策学部、理学部、工学部、生命環境学部、建築学部(以上、神戸三田キャンパス)の14学部を擁する。兵庫県西宮市(本部)2024 JAN. Vol.449まとめ/堀水潤一 撮影/景山幸一
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