て深く交わる楽しさを知りました。こうした原体験から旅を仕事にしたいと、大学卒業後は、『風光る』のオフィシャルツアーを企画した旅行会社に就職することになりました。それから世界中を旅してきました。旅行会社に勤めて8年経ったころ、「まいまい京都」の存在を知ります。まいまい京都が提供するまち歩きのミニツアーは、ある分野のスペシャリストが独自の視点でまちをガイドするのが特徴です。「まいまい」とは「うろうろする」という意味の京ことばで、その名の通りどこか遠くに行くようなツアーではありません。しかし狭い範囲をうろうろするだけでも、視点を変えれば無限にツアーができるのです。苔が好き。建築が好き。高低差といった地形の特徴が好き…。何かを強く愛する人の視点で見れば、同じ場所でもまったく違うまちの表情が見えてくる。つまり、同じ場所でも何万通りの旅ができるということ。衝撃を受けました。はじめは偵察のつもりが、気がついたら転職して、今ではまいまい京都のツアー運営に携わっています。自分の「好き」や、誰かの「好き」。深い「好き」の目で見れば目の前の景色が変わり、見えなかったものに気づきます。その場所を自分の足で歩き、匂いや音、五感でまちをとらえながら、〝ある視点〟からそのまちを体感する。「好き」を求めて旅していると、導かれるようにして、普段会えない人と会えたり、普段味わえない体験ができたりして、世界が広がっていきます。ぜひ高校生にも、自分の「好き」から始まる旅を計画してみてほしいです。自分の見たいものを見る。そのためにはどの道を歩くのが良いか、どこで休憩するか。自分で計画すると、思い通りにいかないこともあるでしょう。しかし自分で考えて、自分と対話しながら歩いた時間はきっと人生を豊かにしてくれるはずです。遠くに行かなくても、きっと旅はできます。通学路を歩くだけで、100年以上の時を超えて幕末を旅することだってできたのですから。特集旅と学び11島原に残る唯一のお茶屋、輪違屋。高校生のとき『風光る』のツアーで訪れて以来縁が続き、まいまい京都でも輪違屋へのツアーを企画した。2024 APR. Vol.450
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