i.cl情報や写真を通してある程度、現地のことを知ったつもりでいても、地域の人から直接話を聞いたり、自分の目で見たりした情報とでは印象がまるで違うことに驚いたようです」(津田さん)教育的効果(図1)が認められたイノ旅は今も、ANAホールディングスおよび、高校生にイノベーション教育プログラムなどを提供する一般社団法人実施されているが、取組を単独の事業で終わらすのはもったいない。現代版「かわいい子には旅をさせよ」のムーブ協議会を構成する企画部、広報部、 研究部のうち、「旅の効用を科学的に検証する」という目的に最も沿う組織が研究部だ。同部では、「旅前」「旅」「旅後」のフェーズごとに、どのような要素が、どんな学びにつながるかを概念図(図2)として示し、随時アップデートしている。いくつかポイントを挙げてみる。●目的や動機を明確にし、計画を立てることが学びに有効に機能する一方、あえて計画を立てない(計画的無計画)ことで、現地においてアンテナが立ubの協働事業として複数の高校でメントを起こしたいという思いで立ち上げたのが「旅と学びの協議会」だ。代表理事には、常々「人間を賢くさせるのは人と本と旅」と語っている立命館アジア太平洋大学(APU)の出口治明学長(当時)が就任。アドバイザーとして、慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科の前野隆司教授や、駒沢女子大学観光文化学類の鮫島卓准教授(現教授)も加わった。小宮山准教授を含め、教育工学、幸福学、観光学の視点から旅の効用について検証する体制が整ったわけだ。ち、五感が研ぎ澄まされることも。●コンフォートゾーン(居心地のいい場所)からアンコンフォートな場所に飛び出ることで行動変容が起きる。●不便ながらも精神的な豊かさが得られる〝不便益〟が自己変容を促す重要な要素。適度な緊張が学びにつながる。●日程をぎちぎちに詰めず意図的に余白をもたせることで、思いがけない出会いやセレンディピティが生まれる。●普段接点のない人とのつながりによって自己と他者の違いを認知。多様性に対する受容力が高まる。 「振り返り」の重要性について、鮫島卓教授は次のように指摘する。 「同じ体験をしているようでも、実際には一人ひとり違う経験をもち得ます。それを可視化するのが振り返りであり、自分と他者との受け止め方の違いに気づく。そうした仕組みがプログラムに埋め込まれていると学びは促進されます」また、旅が幸せや豊かさにどう影響するかという点について、こう述べる。 「街歩きの実証研究では、スマホのナビを使っているときよりも、道に迷い人に道を尋ねたときのほうが幸福度が高い傾向がありました。人との出会いは再現性がないからだと思います。予め想定をし得ない一期一会の機会を増やすことで幸福感は高まるでしょう」 「旅は学びにつながる」ことは感覚的に知るところだが、先行研究は意外にも少ない。そこで協議会事務局や参加著しい変化検証プロジェクトを通じて次第に明らかにされる旅と学び中程度の変化科学的に明らかになってきた旅の効用図3コミュニケーション主体性独創性問題発見自分らしさの発揮コミュニケーション主体性多様性理解自分らしさの発揮旅前と旅後でプラスに変化した項目特集 旅と学び212024 APR. Vol.450※協議会の資料を基に編集部で構成。相手の話(考えや意見)を丁寧に理解するために、傾聴の姿勢をくずさない人から指示されるのを待つのではなく、何事も自ら進んで取り組み、行動する自らの力を信じ、自らなすべき事を考えて決定し、自ら率先して行動する現状に満足することなく、積極的に変化を求め、新たな価値を創り出そうとする既存の概念の枠を超えて、新たな視点で物事を捉え、その可能性を切り開こうとする収集した情報を基に、数ある課題の中から本質的課題を見抜き決断する自らの態度や行動を常に振り返り、反省の心を持った上で次の行動につなげていく自らの考えや意見を、相手の関心や理解度に合わせて、わかりやすく伝える適切なタイミングで質問する等、相手が話しやすい環境をつくり、相手の意見を上手く引き出す何事においても当事者意識を持った上で、自発的に物事に取り組もうとする人や物事に対して先入観を持たず、視点を変えてその対象を理解しようとする自らの強みや特徴を客観的に捉えた上で、それを積極的に活かそうとする
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