キャリアガイダンスVol.450
40/66

まとめ/堀水潤一 撮影/加藤隆介 2022年に校長として本校に赴任し、最初にしたことはグランドデザインの策定でした。先生方と対話を深め、「こういう学校にしたい。こういう力を生徒につけさせたい」といった思いをスクール・ミッションや3つのポリシーなどの形で改めてまとめました。 同時に、それらを具現化する教育システムとして、文部科学省WWL(ワールド・ワイド・ラーニング)コンソーシアム構築支援事業に注目しました。イノベーティブなグローバル人材の育成を目的に2019年度に始まった同事業は、前任校で校長をしていたときから興味があったものの手が回りませんでした。その点、本校は他に先駆けてICT教育や探究学習に取り組んできた歴史や東北工業大学との連携の蓄積があり、十分に適していると思いました。人に優しいけれど、控えめなところもある本校生徒の刺激にもなるはずです。 もちろん、先生方が興味を示さなければ始まりません。けれど皆さん前向きでした。能力はもちろんモチベーションも高く、一枚岩となって準備した結果、2023年度からの3年間、仙台城南高校(宮城・私立)1961年創立。全日制普通科(特別進学・総合進学コース)、科学技術科(電気電子・情報通信・デザイン・電気エネルギーコース)。スクール・ミッションにもある「社会に貢献できる自立した人間」を目指すべく現在、生徒会主導で校則を見直すルールメイキングに取り組む。学習支援センター(カウンセラー、特別支援教育の専門家のサポート)の充実など個に応じた指導とダイバーシティ教育も展開。東北地方初(福島県の公立高校とともに)となるWWL拠点校に指定されました。 具体的には、東北各地の連携校や機関、海外姉妹校と協働し、社会課題解決に向けた探究的な学びを展開。高大連携を進めるほか、外国人教員とのティームティーチングで行う学校設定科目「グローバルコンピテンス」を導入しました。オールイングリッシュで行うと言うとハードルが高そうですが、英語力向上だけが目的ではありません。多少の文法の間違いなど気にせず、失敗も恐れず、自分を出せるマインドこそ身につけてほしいし、そうした観点から適切に評価したいと考えます。 来年度から定期考査をなくし、単元ごとの小テストへ変更する予定なのも、同じ考え方からです。ペーパーテストで測りきれない力は、レポートや発表などのパフォーマンス評価を含め、その都度行えばいいし、そもそも短いスパンでフィードバックがある方が、生徒の学びにも適していると考えています。 私個人は、大学卒業後公立高校の教諭として15年勤めたのち、行政に籍を置く期間が長くありました。目の前の生徒と向き合ってきた教諭時代と異なり、学校以外の文化にも触れたため視野が開けましたし、未来の東北の担い手を育てなければという使命感も強くしました。反面、業務の対象が広いが故に、時折「自分は教師なのに今、誰のために仕事をしているのだろうか」と迷うこともありました。だからこそ現場に戻り、管理職として何かを決断する際は「それは生徒のためになるのか」を常に判断の拠り所としました。組織のためでも、ましてや自分の評価のためでもない。「動機善なりや、私心なかりしか」と自分に問い続けてきたのです。うまくいくことばかりではありませんが、それでも10年後、「あの判断は間違いではなかった」と胸を張れる決断をしなければと思っています。いとう・しゅん/1960年生まれ。金沢大学経済学部卒業後、宮城県登米高校に社会科(世界史)教諭として着任。初めて担任をもち必死で卒業まで導いた不登校の生徒と30年後に再会。活躍する姿を前に熱いものが込み上がる。公立高校で15年務めたのち、宮城県保健福祉部子どもセンター(不登校相談など)、県教育庁高校教育課指導主事(学力向上など)、公立高校教頭(民間人校長補佐)、教職員課管理主事(人事管理、教員研修)、石巻西高校校長、高校教育課課長(入試改革)、仙台二華中学校・高校校長などを経て2022年4月より現職。2024 APR. Vol.45040ICT教育や探究学習、高大連携の蓄積を活かしWWL拠点校に採択「それは生徒のためなのか」を常に判断の拠り所に

元のページ  ../index.html#40

このブックを見る