既存の職業の半数近くが機械やAIに代替されると言われて約10年。高校生にとってなりたい職業があったとしても、数年後、社会にでたときにそれが現在と同じ形態であるとは限らないのだ。こうした先が読めない時代に「卒後ビジョン」という、「卒業して5年後のありたい自分」を明確に描きながら、専門的な学びを進めている学校がある。東京工学院専門学校と東京エアトラベル・ホテル専門学校の2校・30学科82コースで構成される総合学院テクノスカレッジだ。まず、入学直後に合宿形式の「未来デザインワーク」を実施。自己探究のほか、企業トップや起業家による社会の変化についての講話や、学科を超えた仲間たちとのワークショップを通じて、卒業して5年後の自分はどんな仕事でどのように活躍していたいかを思い描く。その時に持っていたい名刺を作って交換したり、未来のトップニュース予想を発表したりもする。その姿になるために自分に何が必要でこれから何を学ぶのか、学びと挑戦のキャンパスライフを計画し、カリキュラム選択につなげていく。「卒後ビジョン」の意義について、エンロールメントマネジメント統括ディレクターの井上氏はこう語る。「めまぐるしく変化する時代に社会で活躍するためには、就職をゴールとせず、ありたい自分ビジョンをアップデートしながら必要な学びや経験に挑戦し続ける力が大切だと考えています。『卒後ビジョン』で描くのは特定の職種に就くということではなく、その職種を通してどんなことがやりたくて、どんな存在でありたいかです。それを学びとキャリアの羅針盤として、専門性を深めるだけでなく、多様な人との協働やグローバルな経験を重ねて、何度も磨きをかけるのが『卒後ビジョン』です」学内の実習だけでなく、今社会で起きている変化を感じ取ることが不可欠だ。そのために、全学科で「TECHNOSゼミ」というPBLを実施。学科を横断した仲間とつくるグループで、企業や自治体の課題解決に取り組み、リアルな社会を体験していく。また、卒業生などの職業人との交流や、業界のトップランナーによるパネルディスカ卒後ビジョンを磨いていくために、座学やッション、海外の姉妹校との交流など「卒後ビジョン」のアップデートプログラムを多様に実施。描いて、磨いた「卒後ビジョン」を叶えるために、キャリアセンターのカウンセラーや担任によるサポートも手厚い。全学部に設置の〝大学コース〟では、学士と高度専門士を同時に取得するだけでなく、2つの専門学科を組み合わせて学ぶことも可能だ。在校生のなかには、販売員の社会人経験から英語の必要性を感じて英語キャリア科に入学したが、学ぶうちに英語を使って活躍できる空港のグランドスタッフを目指すようになり、他科であるエアラインサービス科を履修し始めた学生もいる。その学生の卒後ビジョンは「AIやロボットにはできない、お客さまの想像を超えるおもてなしができるグランドスタッフ」だ。専門科教育を超えて、社会の変化に対 応しながら明確なビジョンを描ける人材を育成する専門学校がここにある。自己分析や社会探究から学びの設計書をつくる取材・文/長島佳子2024 APR. Vol.45042
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