グループ探究を通して他者との協働を経験する興味を起点に多様な生徒が集まることで化学反応が起きる 当するなかで痛感してきたのが、生徒が本当にやりたいことじゃないと続かない、ということ。ですので、一見すると探究らしくないテーマであっても、生徒自身の興味・関心を起点にすることを大事にしています。教員は、生徒のアイデアに個々にコメントをしつつ、テーマが似ている生徒同士でグループづくりを促します。一方、最終的に誰と組むかを決めるのは生徒に任せています」(倉野先生)こうして1学期をかけてテーマを設定。そこからはグループごとに教員が伴走し、問いをつくり、仮説を立て、調査や実験を行い検証していく。秋の中間発表会を経て、年度末の最終発表会が集大成となる。なかには各種コンテストや学会などでのプレゼンテーションに挑戦するグループもいる。KRPのコンセプトの一つが「協働」だ。個人探究ではなくグループ探究を基本にしてきたのも、これが理由だ。「実社会でプロジェクトに取り組む際は、一人ではなく多様なメンバーからなるチームで協働します。大学での研究でも同様でしょう。ですから高校の探究もそういう場にしようと、複数人で取り組むことをルールにしています。一方、現状は、もとから仲の良いメンバーでグループを組みがちで、多様な意見が出にくくなっていると感じるので、そこは今後の課題です」(倉野先生)また、学校設定科目だったころから続いているのが、大学・企業との連携だ。なかでも大学とのつながりは強く、龍谷大学、京都産業大学、京都芸術大学などの協力を得てきた。大学のまち・京都ならではの特色だ。「龍谷大学の高大連携室の先生やフェロー、大学院生には特にお世話になっていて、KRP全体を通してアドバイスをいただいたり、中間発表会で生徒の発表にコメントをもらったりしています。また、京都芸術大学の先生にはデザイン思考やアート思考の観点から1年生に向けて話をしていただきました」(鹿野先生)昨春、KRPで「災害と神社の関係」について探究したグループが、日本地理学会2023年春季学術大会高校生ポスターセッションにおいて会長賞を受賞した。このグループを担当し、KRPに熱心に取り組んできた岡田さとみ先生は、こう振り返る。「中心的存在だった女子生徒は、『刀剣乱舞』というゲームをきっかけに神社に興味をもつようになったそうで、相談会では神社について探究したいと熱弁していました。そこから、グループが決まっていなかった男子生徒3名を巻き込んで、グループを作ったんです。知り合いでもなんでもなかった男女混合のチームでしたが、地震や災害と神社との関係性などいろんな視点から意見が出て、どんどん探究が深まっていきました。興味のあるテーマを起点に多様な生徒が集まるとこんなに面白いことになるんだと、私自身、改めて気づかされた1件でした」この女子生徒は、もともと専門学校への進学を希望していたが、KRPをきっかけに「もっと神社について勉強したい」と大学進学に進路を変更。偏差値ではなく、自分が興味をもった民俗学が学べるという視点で、大学・学部を選んだという。一方、課題もある。「とにかくテーマを決めるまでが難航する」と鹿野先生。倉野先生も「自分の興味・関心だけでは探究のテーマに結びつきにくいのが実情。そこに社会課題という視点が加わると、課題設定がしやすくなるのではないか」と感じている。生徒の興味・関心を具体的なテーマに結びつけるために、それぞれの先生が試行錯誤をしてきた。「どういうテーマがあり得るのか具体的にイメージができるよう、生徒の関心事に関係する先行研究や論文を勧めたり、大学の先生に出張講義をしてもらったりしている」と鹿野先生。また、「参考になりそうな文献を渡したり、実物を見学に行ったり、大学や企業など外部とつないだりするようにしている」と岡田先生。自ら自転車を漕ぎ、生徒と一緒に近くの竹林や断層を見に行くこともあるという。「都市デザインについて探究しているものの、ダラダラしてやる気のないグループがいたんです。そこで、(本校の近くに校舎がある)京都大学大学院で都市工学を学ぶ院生の前で発表する機会をつくったら、なんとか発表までがんばりました。校内での中間・最終発表会も含めて、人前で発表する機会があるからこそがんばれるのだと改めて感じました。一方で、本来はそういう場の有無にかかわらず、どんどん自分たちで深めていくのが探究だという思いもあり…悩ましいですね」(岡田先生)ツール1探究テーマ相談会用のワークシート● KRPの探究テーマの例秋の中間発表会と年度末の最終発表会では、ポスター発表もしくはスライドを使った口頭発表(年度により異なるが、2回の発表会でどちらのスタイルも経験する)を行う。発表は1年生も聞けるようにし、次年度につながるよう工夫している。2024 APR. Vol.45048・ 方言が与える印象・ 若者言葉の傾向・ 洋楽は英語で勉強できるのか・ 京都の地価変動・ 京都市営バスの課題解決と利用活性化のために・ 桂高校擬人化計画・ 神社復興計画・ チョコから始めるSDGs・ 京都市の財政問題とその改善・ 体感時間に関する調査・ パスカルの三角形の拡張・ サザエさんのじゃんけんに負けない方法・ 声を出すと身体能力は変わるのか・ 本当の自分の守り方 〜同調圧力に負けないために〜・ 昆虫食を広めて世界を救おう!
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