教員の不安を払拭できるのか。プロジェクトでは学年別に教員との対話会を企画。改定前に試行期間を設けることや、写真等での基準の明確化など、教員側に配慮した案を携えて話し合った。それを踏まえた校則改定の草案をまとめて職員会議に提出、プレゼンテーションも行った。「生徒は先生方に伝えたいという気持ちが強く、堂々としたものだった」(山村先生)という。教員への働きかけの一方で、活動の初期 「「 から校則見直しの取組を伝える動画を制作して全校集会で放送するなどし、幅広い生徒の巻き込みにも力を入れていた。プロジェクトメンバーが司会となって全クラスにおいてワークショップを行い、変更を求める校則について議論したこともある。プロジェクトを応援していた生徒指導部長の服部康隆先生は、そのときの印象をこう語る。 「『どうでもいい』という生徒が多いかと思いきや、積極的にさまざまな意見を言っていたのはちょっと意外でした。ルールを守ること自体には前向きな生徒たちがほとんどなのだと、改めて感じました」1カ月あまりの試行期間を経て、翌22年度から、スカート丈やツーブロック、靴下の色などに関する新校則がスタートした。生徒の活動は加瀬校長の期待を大きく上回るものだった。 「校則見直しの必要性は感じていたので、もし生徒のプロジェクトがうまくいかない場合は私が出ていく心積もりでいたんです。しかしその必要はありませんでした。時に壁となる意見もあったことが、多様な視点で考えることにつながり、むしろ生徒を成長させた。機会さえあれば生徒は自ら伸びるのだと実感しました」(加瀬校長)生徒会顧問としてプロジェクトに伴走した山村先生には、校則変更という結果以上に、プロセスへの期待があった。 「社会科教員として主権者教育に関心があり、生徒が社会に出たときに市民として身のまわりの社会問題を主体的かつ協働的に解決していく力を育みたいという気持ちがありました。ですから生徒たちの学校に対する問題意識を引き出すなかで、校則への不満が鮮明になると、これは生徒が成長するよい機会になると思いました」(山村先生)プロジェクトを最も身近に見守るなかでは、生徒の主体性を損ねないことを心掛けてきたという。 「生徒たちは時に突飛なアイデアも出しますが、否定せず後押しするようにしています。とはいえ放置するのではなく、手法についてアドバイスしたり、事前に先生方と話して調整したりといったサポートは行いました」(山村先生)れて徐々に緩くなっていった。 「最初のころは細かいアドバイスも行うことで道筋を作りましたが、後半には『これを実行するために必要なことは?』『どういう役割分担が必要かな?』などと投げると生徒自身で考えて取り組むようになりました」(山村先生)動が楽しかったからにほかならないという。 「プロジェクトでは相手の意見を否定せず聞くことなどをルール化していました。言いたいことを言い合える仲間がいたから、最後まで楽しくやれたようです。また、地域や企業の方たちから肯定的な声かけをしてもらったことで自信をもって取り組めたのだと思います」(山村先生)のは、プロジェクトに参加した生徒たちだけではなかった。山村先生は、生徒全体に見られる変化の一つに「社会的自己効力感」の向上を挙げる。全校生徒への調査では、プロジェクト実施の前と後で「自分で国や社会を変えられる」という回答は9%から25%に増加。変容した生徒は「自分たその関わりは、プロジェクトが進むにつ生徒が困難にも立ち向かえたのは、活校則見直しのプロセスを経て変化したちの意見は受け入れてもらえていると思った」「自分たちがやっていることが学校を動かしている」などとコメントした。学校や社会に対する意識が、「どうせ変わらない」から「自分たちで変えられる」へと変化してきているようだ。また、課題解決のために必要な「ものごとを多面的に見る視点」や「根拠に基づいて主張する姿勢」が目立つようになったことも、変化の一つだという。 「意見や提案を出す際、メリットだけでなくデメリットも考えたり、異なる立場になって考えたりするようになったと感じます。また、全校生徒アンケートの『校則を見直す活動のなかで学んだこと』には『理由』『根拠』といった文言が目立ち、ものごとを動かすには感情や感覚だけでなく調査結果のデータや事実などの根拠が必要だということも学んだようです」(山村先生)● みんなで乗り越えるのがすごく楽しかった。達成感が大きかった。● 自分たちでルールを考えることで、ただ守るだけじゃなくて、なんでそのルールがあるのかちゃんと理解することが大事だと思った。● 普段厳しい先生と話をできたのは嬉しかった。今までは、ただルールを守らなくてはいけないという雰囲気だったけど、お互いに「ルールを守ろう」という雰囲気が生まれてきた気がする。● 自分たちで決められるようになったから、学校が楽しくなった。● 校則を見直したことで、社会のルールについても考えることがあった。自分が職場に出たときも、何か問題があったら変えるなどこの経験が役立つのではないか。生徒の考えを否定せず適度な距離感でサポートどうせ変わらない」から自分たちで変えられる」へ生徒と教員の代表がざっくばらんに話し合うスクール・メイキング・オープン会議。2024 APR. Vol.450校則見直しを経て、生徒総会ではより良い学校にするための意見が多く挙がるようになった。54図2 校則を見直す活動で学んだこと(生徒の声より)
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