まとめ/堀水潤一 撮影/山内城司 今春、校長に就任した私ですが、昨年の今頃、校長就任を打診された際、すぐには心の準備はできませんでした。そこで目標を立てました。「1カ月に10%ずつやる気を高めていこう。そうすれば10カ月後には100%万全な体制でスタートが切れる」と。思えば、部活の指導でも進学指導でも同じことをしてきました。大きな目標を前にしたときでも気負わず、そこにたどり着くためのロードマップをつくり、できることを一つずつこなしていく。それこそ目標に近づく最善の方法です。ですから今は迷いがありません。前任者のリーダーシップの下で進んできた学校改革を継続するだけではなく、いくつかの私学で改革を主導してきた私なりの信念や方法を取り入れるつもりです。その一つが適材適所の人材配置です。教師には等しく求められる資質や能力がある一方、得意不得意もあります。私自身、日本史で大学受験、特に難関大学志望者を合格まで導く自信はあるものの、以前、基礎クラスを受けもった際、定期考査の結果で年若の先生に完敗した経験がありました。そうした向き不向きを見東洋大学附属姫路中学校・高校姫路市の要請を受け、東洋大学の附属高校として1963年に開校。1977年第59回全国高等学校野球選手権大会優勝。2014年東洋大学附属姫路中学校開校。2022年コース制を再編し、高校にSコースとTコース、中学校に一貫SPコースと一貫SAコースを設置したほか、制服、カリキュラムを一新。極め、一人ひとりの先生が力を発揮できるようにする。東京大学進学から就職まで進路の幅が広く、部活動に打ち込む生徒も多いなど、多様性を強みとしている本校ではなおさらです。 ちなみに、本校は運動部の活躍が目立ちますが、文化部にも注目してください。例えば地域活性部PROJECT TOYOでは、田植えや稲刈りに携わった米から甘酒を作るなど、地産地消やSDGsを意識した特産品開発などを通じて地域活性化に取り組んでいます。同部をけん引するのは二人の家庭科の先生であり、これも適材適所の好例です。加えて、本校が今、最も力を入れるべき進路指導、生徒指導に人員の厚みをもたせるなど、集団として力が発揮できるよう組織力を強化するつもりです。 本校は、母体である東洋大学の建学の精神「諸学の基礎は哲学にあり」を教育理念としています。哲学とは、物事の本質をとらえ、真理を探究する学問のこと。そのためすべての教育活動において、単なる知識の詰め込みではなく、「考えるを、学ぶ」「自ら考え、自ら選択する」ことを重視しています。例えば、朝と放課後には、一人ひとりが時間の使い方を考えて過ごす「TOYOデザインタイム」という時間を確保。修学旅行も自分たちで行先やコースを選べるようにしました。また、「哲学」「探究」「グローバル」の三要素からなる本校独自の探究プログラム「キャリア・フロンティア」の一環で、高校生全員が大学教員などによる50近くの講義を選択受講する「1Day University」という行事も実施。さらに、昨年度から始めた「海外大学指定校推薦制度」を使いマレーシアの大学へ進学した生徒もいます。 このように学校の主役は生徒です。生徒が楽しくなければ学校ではありません。そのためには最前線で生徒と関わる先生自身が楽しみ、誇りをもてる職場環境にすること。それが新米校長としての役割だと肝に銘じています。うえだ・はじめ/1963年生まれ。岡山大学教育学部卒業。全国中学校軟式庭球大会優勝をきっかけに教職を志す。1987年岡山中学校・高校に赴任。軟式庭球部を創部し9年目に全国大会出場を果たす。同時に進学校としての文武両道を徹底するため授業力を磨く。日本史指導に定評があり、全ページ手書きで綴られた『新・美しい日本史ノート』(地歴社)はロングセラー。「東大・国立医学部コース」設置を主導し主任に。岡山学芸館清秀中学校・高等部副校長などを経て、2023年東洋大学附属姫路中学校・高校教頭。2024年4月より現職。2024 APR. Vol.45060できることを一つずつこなすそれが目標に近づく最善の方法(兵庫県・私立)すべての教育活動で重視する自ら考え、自ら選択すること
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