キャリアガイダンスVol.451
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以前から学校現場で「総合的な学習の時間」に取り組むなか、「探究」という言葉が聞かれるようになった。2010年代から学校独自で課題研究などとして、生徒が自らの興味関心から立てた問いについて教科横断的な方法大学から社会までつながる探究での学びの近況とは 学習指導要領改定によって「総合的な探究の時間」が本格実施されて2年が経過。進度や深度はそれぞれですが、全国の先生たちや生徒自身はどう感じているのでしょう。高校の入り口である小中学校や、出口の先の大学での捉え方など、探究を取り巻く「近況」をデータで見ていきます。2022年の調査時点で「総合的な探究の時間」を導入している学校は94.9%に及び、そのほとんどの学校が学校全体や分掌主導、学年ごとなど組織的に取組を始めていた。組織で取り組むために、分掌に「探究部」ができたり、探究担当の役職を設置する学校が増えている。※末尾カッコ内の表記は [都道府県/設置者/高校タイプ]●生徒の姿勢が前向きになった。調べて発表することで、与えられたテーマへの理解を促すだけでなく、ほかの生徒の発表内容にも注目し、自己との比較を経て自分のものに取り込もうとする姿勢も見られた。[東京都/国立/専門学科]●自分の進路目標への興味関心を深めた生徒が少なからずいた。[岐阜県/県立/普通科]●地域の多様な方と関わる中で視野を広げることができている。体験、実践を通して気づきを得て自信をつけている。[岡山県/県立/普通科と他学科併設]●特に地域に関わる内容に関して、生徒と同じ目線で興味関心をもって取り組めている。教員も生徒たちも知るということに積極的になってきている。[秋田県/県立/普通科]●学年全体で探究活動の補助・指導に当たることが当たり前のこととして定着した。[岩手県/県立/普通科]●これまで調べ学習が中心であった総合学習の時間だったが、教員が生徒たちに考えさせること、丁寧に振り返りさせることをこれまで以上に意識するようになったと感じる。[京都府/府立/普通科]●学校外との関連・ミッションや、授業分野以外の研鑽に費やす時間が確保できにくく、一部の教員に負荷がかかっているように思う。[大阪府/私立/普通科]構成・文/長島佳子 イラスト/松田奈津留「総合的な探究の時間」の取組によって、学力の3要素や育成すべき資質・能力について、「主体性・多様性・協働性」が向上したと感じている先生が最も多かった。フリーコメント欄にあるような、生徒、教員それぞれの変化、発見を感じている先生も少なくない。2024 JUL. Vol.45110高校の先生に聞いた、探究の“近況”探究のここまで

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