キャリアガイダンスVol.451
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かという在り方生き方教育であるはずが、「職業講話やインターンシップのことでしょう」と一面的に捉えられ、「忙しくて余裕がない」とか、「うちは進学校だから関係ない」と受け止められてしまったのです。アクティブ・ラーニングも同様、表面的な「型」と誤解されてしまい、その後「主体的・対話的で深い学び」に言い換えられた経緯があります。探究もまた、ブームのように広まることで、本質を理解せず、単なる調べ学習で終わったり、教員が介入しすぎ、肝心の生徒が置いていかれたりするのではないかと思いましたし、実際、そのようなケースも多いでしょう。このように新たな施策や流行りのキーワードに振り回されることがある一方で、キーワードを自分たちの学校にマッチしたものへと読み替え、校内の共通言語にして授業改善やさまざまな実践に取り組み、教育力を向上させている学校もあります。この差はどこで生じるのでしょうか。そんなことを念頭に、改めて現場目線で探究について考えたいと思います。内容も新たに2022年度に本格導入された「総合的な探究の時間」。初期の熱気が落ち着いた今、改めて探究の意義や向き合い方について、立命館宇治中学校・高校の酒井淳平先生に伺いました。酒井先生は、探究に関する著書もあり、探究&キャリア教育について広く発信しています。後半の企業トップとの対談とあわせてご覧ください。皆さんは、探究もしくは総合的な探究の時間(以下、総探)という言葉が出始めたとき、どのような印象をもたれましたか? 「うちの生徒には難しい」と思った方もいれば、「新たなよくわからない仕事が降ってきた」と気が重かった方もいるでしょう。私の場合、「またか」と感じてしまいました。かつて見た光景が繰り返されるのではないかと危惧したのです。例えば「キャリア教育」がそうでした。本来、人生をどのように生きるキーワードに振り回される学校とキーワードを共通言語にする学校第1部なぜ今、探究なのかインタビュー今、改めて考える探究の意義と向き合い方探究の意義❶      立命館中学校・高校を経て、2008年立命館宇治中学校・高校に異動し、キャリア教育部を立ち上げる。2018年度文部科学省研究開発学校、2019年度同WWLの指定を受け、探究×キャリア教育を核とした「総合的な探究の時間」のカリキュラム開発に尽力。著書に『高等学校 新学習指導要領 数学の授業づくり』『探究的な学びデザイン』(明治図書)など(左ページ参照)。取材・文/堀水潤一 イラスト/松田奈津留お話を伺った方立命館宇治中学校・高校酒井淳平先生

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