キャリアガイダンスVol.451
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  ―   レーニングなのか、メンタルなのかと探っていくことで初めて、やるべき「課題」が明確になり、具体的な「打ち手」も見えてくる。こうしたプロセスを飛ばして、思いつきで「課題」を設定しようとするから、おかしな「打ち手」になってしまうことが多いと考えています。職員会議でも、さまざまな「打ち手」こそ出てきますが、表面的な議論で終わることが少なくありません。その奥にある、ありたい姿と今とのギャップは何か。そうした認識の共有から始めることで課題が明確になり、有効な打ち手も見えてくるわけですね。改善活動でいえば、障がいがある方のほうが問題に気づきやすいとは思います。例えば、段ボール送り出し機(21ページ上)は、段ボールを取りたいのに手が届かないという車いす作業者の不便から生まれたものです。健常者の場合、無意識に中腰で取れるため、機械で補おうという発想自体が起きないのです。ただし、障がいの有無にかかわらず、不便に気づく人もいれば気づかない人もいます。改善につなげる人もいれば、つなげない人もいます。その違いは何か。「ありたい姿」のレベルの差ではないでしょうか。「成長したい」「こんな職場にしたい」と思えば課題感をもち、工夫もします。一方で、「ただ時間が過ぎればいい」と思っている人は、残念ながら行動につながらないと思うのです。ドのようですね。じことが言えます。よく、「どの職に就きたいか」「どこの大学に進学したいか」と生徒に急かすケースがありますが、「自分はどうありたいか」が先にあり、そこから具体的な進路の話が出てくるというのが本来の順番ですよね。企業でもキャリアデザインなどの言葉が使われるとき、キャリア=仕事と矮小化して捉えられがちです。そうではなく、自分の人生をどう生きるかということ。ただ、そういう私ですが、恥ずかしながら学生時代、人生について深く考えたこともなけれ「総合的な探究の時間」はこれからの人生を考える機会どうやら「ありたい姿」がキーワー確かに、進路指導の場面でも同さまざまな体験や他者との関わりを通じて、感じ、考える機会を棚の上の仮置きを許さない「置けない君」定位置に戻すためのファイル背表紙の工夫汚れによる貼り換えまで考慮した床の動線徹底3S活動の実践例【課題】工場内は整理整頓が基本だが、慣れてくると「トイレに行く間だけ」「またすぐ使うから」などの理由で、棚の上に書類や筆記具などを置き、そのままにすることがあった。【改善】そもそも物理的にモノを置けなくすればいいのではという発想で、三角形の物体を設置。当初すべての棚に設置したが、モノを置かない習慣がついた時点で随時撤去している。【課題】キャビネットに並ぶ何冊ものファイル。目的のファイルをすぐ手に取ることができるよう定位置に戻す必要があるが、背表紙の文字や数字だけではどこに戻していいかわかりづらい。【改善】そこで複数の背表紙にまたがるよう斜めのラインや図柄を入れ、左右のつながりをもたすことに。一目瞭然で定位置に戻すことが可能になった。【課題】工場内の床には動線を示すいくつものテープが一直線に貼られていた。ただ、車いすや人が多く行き来する箇所は次第に汚れが目立つように。その場合、端から端まで貼りなおす必要があった。【改善】汚れた部分だけピンポイントで貼り換えれば済むよう、テープを点線に。その結果、貼られていない部分を意識して横断することも多くなり、汚れを極小化する効果も。2024 JUL. Vol.45122

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