キャリアガイダンスVol.451
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私が生まれ育った西伊豆町は、海も山もある自然豊かなところ。海に沈む夕陽の美しさは日本一だと自負しています。大学卒業後、そんな町の役場職員となり、現在は産業振興を担当しています。町ではかつて漁業が盛んでしたが、高度経済成長期以降は観光業が主要産業となりました。しかし、現在はその勢いも衰え、著しい人口減少がさまざまな産業の衰退に追い打ちをかけている状況です。果たして自分の子どもは将来この町で暮らしていけるだろうかと、強い危機感をもっています。大切なふるさとを消滅させたくない。その思いが、今の仕事の大きな原動力です。数年前、地元の商品の販路拡大のため、東京のアンテナショップでの販売に挑戦したのですが、パッケージデザインや内容量がお客様のニーズに合わず、思うような収益を上げられませんでした。そこで、商品を都会に持って行く〝地地域資源を活かして産業を盛り上げふるさとを持続可能にするには?①「夕陽のまち」を掲げる自然が豊かな西伊豆町。故郷を維持するためには産業の振興が大きな課題だが、東京での地元商品の販売はうまくいかず…。③産地直売所「はんばた市場」の設立、電子地域通貨「サンセットコイン」導入、観光客が釣った魚を買い取る「ツッテ西伊豆」の立ち上げを、役場として支援。②漁業や農業の現場に出て生産者から困りごとや意見を聞く一方で、地域外のアイデアやスキルにもアンテナを張り、マッチングを模索。④3施策が順次スタート。地産地消が進み、はんばた市場での販売は生産者のやりがいにもつながっている。高校時代の探究の学びは、社会で働くときに本当に必要なのでしょうか。自ら探究のある働き方をし自分らしいキャリアを歩んでいる、「公務員」「店舗経営者」「人事担当者」「エンジニア」の4人の話から探っていきます。人口減少、産業衰退…町の存続に強い危機感地産地消を提唱生産者主導の推進を支援自ら「問い」を抱いて働く4人 取材・文/藤崎雅子 イラスト/加納徳博   2024 JUL. Vol.45124 私の問い ■松浦城太郎さん静岡県 西伊豆町役場公務員

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