キャリアガイダンスVol.451
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し、住まいのある東京・蔵前でコーヒー豆焙煎店「縁の木」をオープンしました。きっかけは、次男が知的障がいを伴う自閉症と診断されたことです。いつかくる親亡き後、わが子はどんな生活を送ることになるのか。調べてみると、知的障がい者の仕事の選択肢は非常に少なく、地域社会からの距離を感じました。もっと地域社会の中に多様な仕事の選択肢をつくれないかと、検討してたどり着いたのが、コーヒー豆焙煎店でした。安定的な作業の質が求められる仕事は、障がい者の特性として合う人も多いだろうと思ったのです。そうして縁の木を創業し、コーヒー豆を焙煎して実店舗とオンラインで販売する事業を始めました。知的障がいのある福祉事業所利用者が作る菓子類などの製品を仕入れ、コーヒーとのセット販売も行っています。最初から福祉事業所と連携すると決めていたのですが、実績のない株式会社からの〝飛び込み営業〟は警戒され、当初は全国約50カ所にお声掛けして、契約成立はわずか2カ所。その後も地道なアプローチを続け、現在は15カ所に増えました。創業から5年目ごろ、新たな事業に障がいがあっても、地域とつながって生きる環境をどうつくる?①次男が知的障がいを伴う自閉症と診断され、親亡き後も地域と関わりながら働ける場をつくろうと決意。会社員を辞めてコーヒー豆焙煎店を開業。②連携してくれる福祉事業所を開拓。また、同業者や顧客と雑談しながら、福祉事業所との連携によるコーヒーごみの有効活用を模索。④地域めぐりイベントを立ち上げ、地域の個人がつながる地域づくりにも挑戦中。③地域において障がい者が回収した資源を別の製品にアップサイクル※する「KURAMAEモデル」を構築。さまざまな製品づくりに応用。親亡き後のわが子を思い地元でコーヒー焙煎店を開業障がい者の新たな仕事を生む地域資源循環モデルを構築   2024 JUL. Vol.45110年前、出版社の営業職から転身26 私の問い ■珈琲焙煎処「縁の木」代表白羽玲子さん

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