キャリアガイダンスVol.451
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小学生のころから〝遊び〟でプログラミングをしていました。好きなことを深めようと工学情報系の大学・大学院で学び、3年前、スモールビジネスをサポートするサービスを提供する会社に入社。現在、確定申告システムのエンジニアとして働いています。学生時代は技術そのものへの興味が強かったのですが、働き始めて、「ユーザーのためになることは?」を強く意識するようになりました。ユーザーにとっての本質的な価値を追求する、会社のカルチャーにも共感しています。ある時、社内研修でアクセシビリテ      ィの重要性を学び、目の不自由な人の使い勝手を考えるようになりました。担当システムを調べてみると、音声読み上げ機能はあるものの、技術的に困難で未対応の箇所も。それに対応することが自分自身のテーマになりました。チームで設定した課題ではないので、日常業務とは別に自分のやりたい開発ができる制度※2を使って、少しずつ開発に取り組みました。具体的なものがあると話が早いと思い、まずプロトタイプを制作。チームに共有して意見をもらったり、社内の目の不自由なスタッフに試してもらったりしてブラッシュアップを重ね、今年1月、システムへの実装が叶いました。使った方がSNSで感動の声を上げるなど、嬉しい反響を頂いています。多様なユーザーが使いやすいよう改善することで、会社の提供する価値を高め、同時に自分の技術的な興味関心も満たされます。他社にない新しい機能には特にやりがいを感じますね。今後も好奇心を大切にし、そのとき一番面白いと感じることをやっていきたい。そこから自ずと進む方向が見えてくるのだと思います。目が不自由な人を含めた多様なユーザーが使いやすいシステムとは?を学ぶ。自社サービスのアクセシビリティ向上の余地に気づき、興味がわく。①社内研修でアクセシビリティ※1の重要性②自分のやりたい開発ができる制度を活用し、自社サービスの音声読み上げ機能の充実に取り組む。④開発した機能を自社サービスに実装。会社が提供したい価値と、自分の技術的な好奇心のどちらも満たすことに成功。③試作品を作成し、社内の目の不自由なスタッフに意見を聞くなどしてブラッシュアップ。「とりあえずやってみる!」で好奇心と社会的価値を両立櫻井さんはチーム内外でのコミュニケーションを「面白い連携を生むきっかけにもなる」と大切にしている。さくらい・たくや●大学院を卒業後、2022年、フリー株式会社に入社。会計申告開発本部 財務会計部 個人チームにて個人事業主向けプロダクトの開発を担当。探究へのヒント遊ぶ感覚で面白いプラスαをしようとレポート等に取り組んでいたことが、 “言われたことをやるだけ”ではない仕事の仕方につながっています。興味あることを学び、学んだことで思い切り遊ぶことが大切です。2024 JUL. Vol.451※1 年齢、性別、利用環境、障がいの有無などの違いによらない利用しやすさ ※2 フリーには、普段の業務から離れて、自分の興味関心や目標に基づいて取り組む「開発合宿」や「G20」(勤務時間の20%を自分のやりたいプロジェクトに費やすという意味)といった制度がある。特集 今、探究をどう進めるか?学んだことで、遊ぼう29 私の問い ■フリー株式会社エンジニア櫻井拓也さん

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