キャリアガイダンスVol.451
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テーマ持続可能性 データ活用をもとに、1学年で社会課題解決を目指す探究を行い、理数コースの生徒は学校設定科目で課題研究にも挑戦。2〜3学年で生徒全員が課題研究を行う。新潟市や県内大学、地元企業とも連携。協働する企業に資金面の後援もお願いできないか相談するなど、持続可能な探究にするための手立てを多方面から模索している。年度の探究で重視したのが「持続可能性」です。本校は2003年のSSH校指定以来、探究的な学びを進めてきましたが、第Ⅴ期SSHの採択は叶わず、2年間の経過措置となり、予算が減少。それでも、探究の継続・発展を目指しているからです。 まず先生方が「お金をかける前に眠っている資料や道具を活かす」取組を始めてくれました。各所でバラバラに管理されていた資料や道具等を理科室倉庫に集約、全員で把握して有効活用できるようにしたのです。 本校では探究の一環で海外研修―台湾の高校との共同研究も行っており、現地視察や帯同にもお金がかかります。その費用の一部は、PTAに後援会費をお願いし充当しました。加えて、相手校と関係性ができたからこそ、オンラインの交流や、台湾の生徒の訪日の歓待など、限られた予算のなかでもできる活動を広げています。 また、先生方がSSHの蓄積を基に「教科授業でも探究場面を作る」ことに努めています。探究担当を短いサイクルで回せるよう、業務を可視化する、ネット上のnoteに活動を記録するなど、教員が入れ替わっても続く体制も志向。特別な予算や人に頼らなくても、探究は持続でき、その学びが生徒の自主性を育んでいく。そうしたモデルを確立し、SSH校以外にも輪を広げることが、先駆けて探究に取り組んだ本校の使命だと思っています。 1年次に地域の人々へのインタビューや、地元で販売する商品開発に挑戦。2〜3年次は観光・食・保育など興味ごとに縦割りグループでゼミ活動。秋には体育館とその外周で「咲明日高校マルシェ」を行う。「教育助成事業」にも目を向けていて、同校はマルシェの取組を論文にして日教弘教育賞に応募、最優秀賞を獲得し、資金助成も得た。明日(さかした)高校マルシェという、地域の企業・団体・クリエイターと生徒が協働するマルシェ(市場)を、2022年度から校内で開催しています。文化祭とは別に、地域の皆様の飲食や物販の出展から生徒の探究実践まで行う催しです。探究の予算を教職員で共有し、補えない資金の捻出を検討。警備スタッフや広報用ポスターの費用は同窓会に協力を仰ぎ、生徒の菓子販売等の材料費は学校徴収金の積立から一度出し、売上を戻してやりくりしました。地域の皆様には、マルシェの商いを各自の裁量にお任せすることで、謝礼等はお支払いせずご協力いただいています。 若手の教員たちが発案し、その熱量に皆が巻き込まれた取組。前校長と、当時教頭の私はその経緯がすごく嬉しくて。本当にできるか懸念もありましたが、覚悟を決め、学校事務の方に規定にふれる面がないか県との調整もお願いして進めました。生徒たちが教育委員会や地域に出向いて直接協力を仰ぐことで、多様な方々に応援団になっていただきマルシェの成功につながりました。 探究全体では、互いの目的のために取組によっては無償で協働できる方との連携も、人づてをたどって広げています。まちの課題を共に考えてくださる市役所、高大連携協定を結んだ大学、地域貢献への情熱から生徒と協働で商品開発をしてくだる企業の方などです。2024 JUL. Vol.45132探究にかけられる予算や人材、どうしてる?培ってきた財産を眠らせずより活かそうとしています。新潟南高校 (新潟・県立)校長:横堀真弓先生やりたいことを各方面に発信、助力を得てきました。坂下高校 (岐阜・県立)校長:田並千穂先生

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