キャリアガイダンスVol.451
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テーマ進路・キャリア 開校当初から探究を軸に据えた教育を実践。中高6年間を通して探究に取り組み、「課題を創造的に解決できる人」になることを目指している。総合型選抜・学校推薦型選抜による大学進学者も多く、学校のホームページ等では、卒業生の進路(進学先)とその生徒が高校で取り組んだ課題研究のテーマの一覧を公開している。校では、高校2年次に個人で課題研究に取り組み、3年次にはその成果を論文にまとめたうえで、進路やキャリアを考えていきます。個人探究(課題研究)と進路については、生徒1人に教員1人が付いて伴走します。2年間を通して同じ教員が担当し、生徒がたどった探究プロセスをそばで見てきた教員が、進路選択に当たっても、対話を通して生徒が自らの道を見いだすサポートをしています。 探究で肝になるのが、テーマ設定です。私たちは、「好きなこと(興味・関心)」「得意なこと(能力)」「大切なこと(価値観)」「社会から求められること(社会)」が重なる部分にテーマがあると考えています。生徒たちはこの4つの視点で「こと」を書き出しつつ、大学で何を学びたいか、将来はどんな仕事をしたいか、どうありたい・生きていきたいか…といったことも考えながら、テーマを絞っていきます。本校の卒業生は、結果として課題研究のテーマと関連のある分野に進むケースが多いですが、進学先や大学受験から逆算してテーマを選ぶ指導はしていません。探究に取り組んだ結果、それが進路や受験につながればそれはそれでいいし、直接的につながらなくたっていい。そもそも探究は分野横断的なものですから何らかの関連性があることが多いですし、本当の意味でその「成果」を感じるのは、今ではなく10年後かもしれないのですから。「未来創造探究」では地域や身の回りの課題に取り組むことを通して未来の社会や自分をつくっていく。1年次後半にはプレ探究に取り組み、課題テーマを模索。2年次からは6つのゼミに分かれ、3年次前半まで個人やグループごとに探究に取り組み、最後は発表して論文にまとめる。究と進路を地続きのものと捉え、生徒に伴走しています。就職希望だった生徒が探究をきっかけに大学進学に切り替えたり、探究で取り組んだ原子力についてもっと深めたいと大学で研究する道を選んだり、探究と進路が一体化した生徒は強い軸をもっていて、モチベーションも高いんですよね。そんな姿を見て、探究と進路とつなぐことが大切だと、私たちも考えるようになったのです。興味深いのが、探究のテーマが大学の学問分野に直接的につながるというよりは、探究を通した出会いや生まれたつながりが進路選択に影響を与えるケースが多いということ。漠然と「小学生と何かをしたい」と探究を始めた生徒が、教員との対話から小学校で絵を描くというアクションにつながり、先生になりたいと大学に進学し、教育実習生として本校に戻ってきた…というケースもありました。目指す姿から逆算して決めるだけでなく、偶然出会ったものから自分の手で選び取っていくのも進路の決め方なのではないか。この学校に来て、私自身のキャリア指導観も大きく変わりました。 また、コロナ禍中には「卒業したって探究は続くんです」というオンラインイベントを卒業生が主催し、高校時代に夢中になった探究や大学での学びについて発表しました。反響が大きかったので、今年5月には私たちから卒業生に呼びかけてポスターセッションを開催しました。ロールモデルとなる卒業生の存在は大きいと感じています。2024 JUL. Vol.45138どうしたら在り方・生き方や進路につながる?探究を伴走した教員が、進路の相談にも乗っています。青翔開智中学校・高校 (鳥取・私立)探究部主任(SSH担当):田村幹樹先生進路支援部主任:森川真吾先生探究と進路を地続きと捉え、卒業生の手も借りています。ふたば未来学園高校 (福島・県立)企画研究開発部主任:林 裕文先生

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