キャリアガイダンスVol.451
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テーマ探究の意義特集 今、探究をどう進めるか?※ダウンロードサイト:リクルート進学総研>> 刊行物>> キャリアガイダンス(Vol.451) 1年次に「本物」にふれる機会を数多く用意し(大学や地域でのフィールドワーク等)、生徒が社会の中で自分軸を発見。2年次には学校のある南区で地域貢献や課題解決2024 JUL. Vol.451域と関わる探究に、本校が乗り出したのは8年前。当初はまさに「なぜやらなきゃいけないの?」という空気でした。生徒から「その時間に受験勉強をさせて」という署名活動が起きたほどです。僕らが探究の意義を伝えきれていなかったからだと思います。ですが、活動を重ねていくと「この経験が自分の糧になる」と実感する生徒が増えていったんですよ。今では総合型選抜や学校推薦型選抜で、多くの生徒が探究の話をします。期待を上回る自走をする生徒も増え、学校全体で「生徒のやりたいことをベースに探究を進める」体制ができてくると、明確なビジョンをもって取り組む生徒も激増。探究は「特別な生徒」だけ熱心になると思われがちですが、本校ではほとんどの生徒が探究に前向きで、それを「普通のこと」と捉えています。 一番の変化として感じるのは「卒業後の活躍を聞くことが増えた」ことです。蓋が外れたのか、進学先など今いる場所39探究による学校の変化をまとめたスライド。生徒から先生や地域にも良い影響が波及していることが見てとれる。に挑み、後半ではその経験も踏まえて自己の未来を描き、行動する。3年次は各自が学校設定科目などで自分のやりたいことを深める。 2021年度より単位制に移行し、生徒たちでもチャレンジをし続けているのです。 探究学習を推進したのは、生徒が外のリアルな場にふれて、より生き生きと学んでほしかったからでした。今はそれに加えて、そんな生徒や地域の人と接するなかで「自分自身が変化していく」のも本当に楽しい、と感じています(千葉建二先生)。 昨年度まで3年間持ち上がりで関わった生徒たちに、探究学習などでどんな変容があったかを、生徒のアンケート調査のデータを基に分析してみました。 そのなかで見えてきたのは、学習に取り組む姿勢が明らかに変化していたことでした。「自分なりの課題意識をもって学習に取り組んでいる」生徒は、以前の5割以下から7割に増加。「取り組みたい」とする生徒も加えると9割超で、「学びの主体は『自分』」という意識が強まったようです。「部活動や課外活動で受け身にならず自分から動いた」「学校内外でチャレンジすることができた」生徒も8割超まで伸長しました。 こうした変容のあった生徒たちは、受験でも過去最高レベルの結果を出したんです。それも、推薦で受からなかった生徒が諦めずに一般選抜にも挑み、第一志望に合格するなど、総合型・学校推薦型選抜にとどまらず、一般選抜で力を発揮した生徒も多かったのです。加えて、推薦などで年内に進路が決まった生徒は、以前は気が抜けやすい印象がありましたが、今では「合格が決まったからこそ、残された高校生活で自分のやりたいことに打ち込む」という傾向が見られます。 自分としては、探究で培ったそうした意識や姿勢が世の中でどう生きるか研究し、生徒たちの活躍を一層後押ししたいと思っています(長井 翔先生)。は探究を進めながら自身で多くの授業を選択するようになった。このことが、「学びの主体は『自分』」という意識を高める相乗効果を生んだのではないか、と長井先生は分析している。探究の「具体的な価値」がまだ見えなくて…生徒の学びの主体性や挑戦する意欲が高まりました。札幌藻岩高校 (北海道・市立) 探究計画部長:千葉建二先生、進路部長:長井 翔先生

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