キャリアガイダンスVol.451
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や、探究・プロジェクト型の学びをカリキュラムの中核においた創造コースの開設など、新しい取組を次々と立ち上げている。その変革の原点には、現在教頭を務める辻本義広先生が2010年代に感じていた、自らの教育実践に対する違和感があるという。 「当時、進学実績で学校が格付けされる風潮が強く、大量の補習や課題で生徒に勉強させることが良しとされていました。しかし、あるとき生徒が疲弊している様子を見て、本当にこれでいいのか?とモヤモヤし始めたんです。その答えを求めて全国の先生の考え方や実践から学ぶなかで、『学びを変えたい』と強く思うようになりました」セプトも見直した。その軸となったのは、学びに対するプレッシャーからの脱却と、みんなが同じをめざす画一的な工業型教育から個々を見守る農業型教育への転換だった。この2つの軸を基に、安心して楽しんで学ぶことができる場を創るという最上位目標を設定。それに向かう手段として、学びの「個別化」「協働化」「プロジェクト化」「リフレクション」という4つの融合に取り組み始めた。 「社会変化や学習指導要領を引用するまでもなく、どの先生も土台にあるのは『子どもたちに幸せになってもらいたい』という思いです。その幸せは、大人や教員が決めて子どもに押し付けるものではありませ追手門学院高校は近年、探究の教科化ん。子どもたちが自分なりの幸せを見つけるため、その仕掛けや機会をたくさん提供するのが我々教員の役割だと思います。効率や損得はいったん後回しにして、ワクワク感を中心としたさまざまな経験を通して、リフレクションを丁寧に行うことで、生徒自らが感じたことや考えたことを主観的かつ俯瞰的に言語化して蓄積し、自信をも個別化・協働化・プロジェクト化・リフレクションの融合へ■色**プロジェクト(1学年「be Original」×アート)自分の「好き」「大切」なものを108個書き出し、それを色で表現してみる。その色合いやプロセスから自分の特徴を考える。■ウォレット・プロジェクト(2学年「be Creative」×デザイン)使う誰かを設定して、その人のための財布をデザインする。インタビューからニーズを探り、プロトタイプを制作してフィードバックをもらう。■わたしたちプロジェクト(3学年「be Confident」×アート)これまでの気づきから自分の興味関心を広げ、自らテーマを設定し、何か行動を起こしてみることで、テーマを深める。取材・文/藤崎雅子19年の校舎リニューアルに伴い、教育コンウォレット・プロジェクトでは、実際に財布を作って考えていく。  2024 JUL. Vol.45144こんな学校は必読!生徒一人ひとりの幸せにつながる学びの場づくりを一歩ずつ進める追手門学院高校。図1 探究科のプログラム例 探究の教科化や、すべてのカリキュラムで探究を行う創造コースの開設など、その原点にある考え方や実践内容、生徒たちの成長の姿をレポートします。□ 探究活動で生徒のモチベーションが上がらない□ 各教科に探究の視点を取り入れたい□ 探究を軸にしたカリキュラムマネジメントを模索中

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