キャリアガイダンスVol.451
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家庭生活のことをいろいろな切り口から考える家庭科の授業を行っている。例えば、ALTの先生がメインの進行を務め、英語でやり取りしながら「国や時代による住まいの違い」を比較する授業(上の写真)。今後を見越して、「一人暮らしの住まいの選び方のポイント」を考える授業。そして、「大学生は一人暮らしをすべきである」というテーマで、生徒が賛成・反対に分かれてディベートをする授業などだ。ループで進める。まず行うのは、3人の中で「賛成側から論じる人」「反対側から論じる人」「議論を審判する人」の三役を割り振ることだ。次いで、賛成と反対の立場の生徒が120秒で立論準備する。べきかを、次の流れで討論していく。①賛成側の立論(60秒)②反対側の立論(60秒)③賛成側反論(相手の意見への反論60秒)④反対側反論(相手の意見への反論60秒)⑤補足討論(言い足りないことを伝え合う)傾けたうえで、どちらに説得力があったかを判定。判定を下した理由も説明する。った生徒が席を立つなど、1人だけ別グループに移動。組む人を入れ替え、各自が先ほどとは違う役になり、またディベートを福岡県立戸畑高校の加藤敦子先生は、ディベートの授業は、原則3人1組のグディベート開始。大学生は一人暮らしす審判役の生徒は、こうした討論に耳をここまでが1ターンで、続いて、賛成役だする。これを3ターン行う。つまり、生徒全員が最終的に「賛成」「反対」「審判」の立場すべてを経験するのだ。持論を戦わせるのでなく、あくまでも役に沿って意見を出し合うゲームなので、生徒たちはリラックスして討論していた。とはいえ、やるからには勝ちたいので、賛成・反対どちらの役をやるときも、説得力ある意見を出そうと、その立場になりきって頭をひねっていた。具体的にはどんな意見が出たのか。一人暮らし賛成側の主な意見は…「自炊やお金の管理とかで成長できる。社会人になるための準備になると思う」「親の偉大さがわかって感謝もできるし」「便利な場所を選んで住めるのも大きい。大学が近いとか、スーパーが近いとか」「帰り時間とかを気にせず、やりたいことに集中できるし、自由でいい」「好きな人を家に呼べる! 対して、一人暮らし反対側の主張は…「自宅から通ったほうがお金がかからず、貯金できるし、親の助けにもなる」「一人暮らしだと栄養が偏りやすい」「病気やトラブルのときに一人だと困る」「ゴキブリが出たら、一人じゃ倒せない」相手の意見への反論として出たのは…「自炊やお金の管理は、自宅通いでもできるよね? 「社会人の準備は社会人になるときにすればいいし、大学生の本分は学業でしょ」「自宅通いで貯金するより、一人暮らしで節約・貯金したほうが、お金に強くなる」「一人で困ったときこそ友達を呼ぼうよ」これでしょ」家事ならもうやっているし」一人暮らしすべきだろうか大学生になったら、取材・文/松井大助 撮影/石崎 純大学卒業後、高校教員に。10年目の時に勤務しながら大学院に2年間通い、家庭科教育学の知見を深める。修士論文のテーマは「課題研究の指導法」。家庭クラブの活動(有志の生徒による家庭科の知見を使った課題解決)にも注力し、現任校ではその活動の一環で、生徒とフードロス削減に取り組み、農林水産省の表彰も受けた。          2024 JUL. Vol.45150

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