キャリアガイダンスVol.453
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IFT』で〝人重要性が下がったわけではありません。ただし、その意味は大きく変化しつつあります。「自分は何をしたいのか」を考え抜いて選んだ経験が次のステージでの満足度につながり、その次の選択でも活きてくることがわかっています。例えば、「21世紀出生児縦断調査」(文部科学省・厚生労働省)によると、大学などの進学先を、「将来就きたい仕事と関連しているから」という理由で選んだ人は、大学生活の満足率がから」という理由で学校選択を行った人は満足率が25%です。では、学びたいとか、こういう仕事に就きたいといった動機はどのように生まれるのでしょうか。動機は、もてと言われてもてるものではありません。真の動機は体験から生まれるのです。先の調査からは、職場体験や職場見学が学習動機を増進させることもわかっています。考えるまでもなく、例えばJAXAで宇宙飛行士の話を聞き宇宙関係の職に就きたいと思えば物理学を学びますし、JICAで海外協力隊の話を聞き国際貢献したいと思ったら英語を勉強しますよね。体験があって学びがある。ところが日本の学校では、この順番が逆になっているケースが多いように感じます。教育実習もそうですが、座学で理論を学んだ後に実習がある。体験があって初めて、学ぶ必要性を実感するのに、そのときには時間が足りません。社会人になってから「あれを学んでおけば…」と後悔してはもったいない。こんな調査結果もあります。「大手企業新入社会人の就労状況定量調査」SH説     体験や機会があってこそ生じる学びたいという動機広がる新しい世界解偶発的な機会や小さな一歩から「やりたいこと」の有無にかかわらず、高校時代の豊かな機会や体験は、若者のキャリア観に大きく影響します。次世代社会のキャリア形成に詳しい研究者の古屋星斗さんに解説して頂きました。ベストセラー『LIFE生100年時代〟を提唱した組織論学者のリンダ・グラットンは、「教育→仕事→引退」という3ステージの人生の崩壊と、それに代わるマルチステージの人生を提起しました。確かに今、人生における選択の回数は飛躍的に増え、それらが訪れる時期も早まっています。転職、副業、起業、育休、介護離職などの選択の機会が次々と現れる結果、高校卒業時の進路選択は、人生を左右する最大の機会とは言えなくなりました。数ある選択の最初の一つに過ぎなくなっているわけです。だからといって、その最初の選択の50%である一方、「合格できそうだった将来の目標から逆算した進路指導だけでは難しくなっています。そうしたなか、「自分が起こした意図的な機会」だけではなく、「外部要因で起きた偶発的な機会」も能動的に捉え、選択・行動することの繰り返しが高校生の視野を広げ、キャリア観を形成していくのではないか。そうした仮説を、解説編と対談編を通じて探ってみました。2025 JAN. Vol.45318ふるや・しょうと●一橋大学大学院社会学研究科修了後、経済産業省入省。産業人材政策、投資ファンド創設、福島の復興・避難者の生活支援、政府成長戦略策定に携わる。2017年より現職。専門は労働市場分析、未来予測、若手育成、キャリア形成研究。一般社団法人スクール・トゥ・ワーク代表理事。近著に『会社はあなたを育ててくれない』(大和書房)。取材・文/堀水潤一 撮影/平山 諭リクルートワークス研究所 主任研究員古屋星斗さん機会と選択を繰り返して創られるキャリア

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