□□□□□□□□□□□□2025 JAN. Vol.453きたがわ・たつお/1952年生まれ。京都教育大学教育学部卒業後、洛南高校に英語科教諭として着任。2003年より6年間学年主任。図書館長、教務部長、副校長を経て2019年より校長。2024年5月より法人理事長を兼務。読書や新聞などから常に情報を収集し校長講話などで発信。スポーツ観戦に熱心で、積極的に応援に駆け付ける。学祖弘法大師が開いた綜藝種智院を源流に、1962年校名を洛南高校として発足。1985年附属中学校開校。2006年男女共学化。仏教の三帰依(帰依仏・帰依法・帰依僧)を基にした「自己を尊重せよ」「真理を探求せよ」「社会に献身せよ」を校訓とする。陸上部、体操部、水泳部、バレーボール部、バスケットボール部などの強豪校として知られるが、一部の体育系クラブには、体力づくりなどを目的とするⅡ部も設置。まとめ/堀水潤一 撮影/米本満穂 本校には、私と同じく洛南出身の教員が多数おります。当時は男子校でしたが、「生活即学習」を合言葉に、毎朝校門で交わされる挨拶や、放課後掃除に精を出す様は今も変わりません。日常のすべてに自分を磨く教えがあるという「雑事は仏事」という考えの下、学校生活が営まれています。原則3年間クラス替えがなく、クラス対抗行事に熱が入るのも当時のまま。学祖、弘法大師空海の御入定の日(命日)にあたる毎月21日に、中1から高2の生徒が講堂に会し御影供という法会を実施することも変わりません。仏教の教えに触れ、自らの生き方を自省する大切な時間であり、この日は授業もなく昼には下校します。 学校のあたりまえが問い直されるなか本校でも、多様な学力観に応じた独自のコース編成や個別最適な学習、主体性や協働性を育む教育プログラムの導入を進めてきました。しかし、多くを学ぼうとすれば一つひとつの学びは浅薄になり、何かを重点的に学ぼうとすれば、他の何かを身につける機会を失いかねません。新規の看板に振り回されるのではなく、洛南高校(京都・私立)33長年積み重ねてきた基本の育成に関与したい。それこそが心の教育であり、人間教育です。本校は毎年多数の京都大学合格者を出すとともに、スポーツが盛んな学校です。希望の進路を保障することは大切ですが、心の教育なくしてバランスの取れた人間は育ちません。学祖は「物の興廃は必ず人に由る 人の昇沈は定めて道にあり」という言葉を残しました。すべては人の生き方、歩み方にかかっているわけです。本校の学校案内には、最新の教育や進学実績以前に、心の教育や生活習慣について多くのページを割いており、そうした点にも確固たる姿勢が表れています。 本校には、知の高みを追求し最難関大学に挑戦する「空パラダイム」と「海パラダイム」という2つの学習プログラムを用意しています。後者はさらに、教科学習を究める「αプログラム」と、課外活動で自己実現を図る「βプログラム」に分かれますが、αβ混成のクラスもあります。つまりは、スポーツの全国大会で優勝を狙う生徒と、難関大学志望の生徒が机を並べて学ぶわけです。また、6月のバレーボール大会から2月の柔道大会・バスケットボール大会に至る多数のクラス対抗行事ほか、学校行事が盛りだくさん。多様な機会があることで、さまざまなタイプの生徒に活躍の場が与えられています。ぜひ、嫌いなことや興味がないことにも、積極的に挑戦してほしい。試しにやってみることで、新しい扉が開かれるはずです。 それを後押しするのが、母校愛にあふれ、生徒や保護者と密に関わる本校の教員です。なかでも生徒と担任の交換日記ともいえる週番日誌は、手書きによる温度感が伝わる大切なコミュニケーションツールです。担任時代、ある生徒から「騙されたと思って、この本を読んでください」と勧められたことがありました。自分では手に取らない作家でしたが、非常に面白く勉強にもなりました。このように生徒・教員を問わず、日常すべてに学びがあふれている学校です。さまざまなことを体験し、自らの殻を破る機会にしてほしいと思います。新規の看板に振り回されず積み重ねてきた基本を大切に多様な機会があることで新しい扉が開かれるはず
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