進している(図2)。同校の教育をSTEAM教育化するための要件として、東京学芸大学大学院の大谷忠教授が提唱する「STEAM教育のすすめ」にある定義を解釈した5項目を設定(図3)。次に紹介する3つの柱で充実を図っている。1つ目の柱は、社会に開かれた教育課程を実践するコンソーシアム事業だ。今年度までに、同校と企業、専門学校等によるコンソーシアムを3件立ち上げた。各コンソーシアムが目指す人材の共通点は、技術職(テクノロジスト)だ。その育成に向け、高校と専門学校等を接続させた5または7年間のロードマップを設計し、産学連携でプログラムを展開するもので、単発の出前授業とは一線を画す(次ページ図4)。育成を目指す「かながわP-TECH※コンソーシアム」だ。日本IBMの呼びかけに同校の電気科と神奈川県立産業技術短期大学校が賛同し、2021年に発足。その後、横浜銀行、富士通総研、ソフトバンクも参画した。1学年の必修科目「工業情報数理」で企業や専門学校による講話を3回実施し、AIに対する興味を喚起する。2学年の選択科目「プログラミング技術」では、ソフトバンクが提供する「AIチャレンジ」を活用して探究学習を展開し、ソフトバンク社員などから年数回アドバイスをもらいながら、AIの活用や課題について理解を深める。3学年の「課題研究」では、AI をテーマに取り組む班が参加企業のメンターから助言をもらう。さらに深くAIを学びたい生徒は、産業技術短期大学校に進学し、連続性のある教育課程で学ぶことができる。担当の大島有希先生はこう話す。 「企業や専門学校が関わる授業を通じて、日常で何気なく使っているIT技術に対する解像度が上がり、その幅広さや奥深さを実感する生徒が多く見られます。教員のフィルターで取捨選択や変換されることなく、生徒が直接社会から学べることで、自分で考え、判断することにつながっていると感じます」同コンソーシアムでの経験を基に同校が呼びかけ、23年、大規模な建設投資の現場に設置が義務づけられる施工管理技術者の育成のため、同校建設科と東京テクニカルカレッジ、清水建設の連携による「次世代建築リーダー育成コンソーシアム」を立ち上げた。担当の栗山博樹先生はこう話す。 「建設業界では施工管理技術者の不足が加速しています。一方、本校建設科に入学を希望する生徒は、施工管理という仕事をほとんど認知していません。そのため、施工管理技術者を工業高校入学時から目指すために、その魅力を伝え、志す生徒を一人でも多くしたいと考えました」最初に始まったのは、次世代IT人材の企業や専門学校等と連携し社会のつながりのなかで学ぶ神奈川県内で最も歴史が古く規模の大きい工業高校。「来たる国際社会・超スマート社会で活躍できる『次世代テクノロジスト』の育成」を目指し、産学連携による3つのコンソーシアム構築、課題研究改革、教科横断を柱として「神工STEAM教育」を推進。2022年度より神奈川県立高校指定事業のSTEAM教育研究推進校。電気科総括教諭大島有希先生電気科総括教諭・進路ガイダンスグループリーダー川上悟史先生1911年設立/機械科・建設科・電気科・デザイン科生徒数940人(男子747人・女子193人)進路状況(2024年3月卒業生)大学73人・短大2人・専門学校等25人・就職196人・その他8人機械科総括教諭宮城泰文先生1 理数基礎力(Mathematics)2 IoT、ロボット、AI及びビッグデータなどの 先端技術活用力(Science&Technology)3 工業(工学)に関する 知識と技術の活用力(Art&Engineering)4 グローバルコミュニケーション能力(English)要件1 社会に開かれた教育課程の実践要件2 自分自身のwell being(幸福)から発展した社会全体のwell beingを考える要件3 実装することが重要である要件4 探究的な学習と創造的な学習を往還させる要件5 教科等横断的な学習の実践 機械科実習指導員平山健太郎先生建設科 教諭・進路ガイダンスグループサブリーダー栗山博樹先生※P-TECHは、“Pathways in Technology Early College High Schools”の略称。教育行政・学校・企業が連携してIT人材育成に取り組む教育モデルで世界28カ国で実施されている。2025 JAN. Vol.453図2 神奈川工業高校のグラデュエーション・ポリシー目指す生徒像来たる国際社会・超スマート社会で活躍できる『次世代テクノロジスト』卒業までに身に付けさせたい力『創造的な問題発見・解決能力』図3 神工STEAM教育の要件と、それを満たすための取組51コンソーシアム事業課題研究改革教科等横断的な学習4つの力を育成するための教育課程「神工STEAM教育」
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