動車業界は今、大きな変革期にあります。動力源として、ガソリンや軽油に加え電気もハイブリッドも水素もあり、自動車整備士は全方位に明るくなければいけません。電子制御や高圧バッテリー、自動運転や通信など、学ぶべき領域も広がっています。求められる役割も変わっています。自 昔は腕が良ければ優秀と呼ばれていましたが、それだけでは足りません。故障内容をきちんとヒアリングしたり、整備の結果を的確に伝えたりなど、お客様と深いコミュニケーションができる人物が求められているのです。お客様とのお付き合いは、新車セールスがひと時なのに対して、整備士の場合、車検や定期点検などの節目節目で接点を持ち続けるわけで、その点でも大きな期待がかかっています。専門性を活かしながらお客様一人ひとりの心に寄り添うという点で、ホームドクターのような存在だと思っています。このように整備士に求められる力や役割が変化していますが、それと並行して、職場環境も大幅に改善しています。油まみれの3Kというイメージは昔の話。コンピュータ診断機で電気信号を確認しつつトラブルシュートするなどの作業が増え、販売店で働き方改革が進み、作業環境や待遇面も向上しています。キャリアパスも多様化。当校卒業生はトヨタ販売店だけではなく、トヨタ自動車本社や関連企業でも活躍しています。東京、名古屋、神戸のトヨタ校3校からはトヨタ販売会社の役員を人にのぼります。トヨタ校3校は、トヨタ直営ということもあり最先端の設備が整っています。先進的な教育環境は共通ですが、それぞれ特色があります。例えば神戸校には、接客応対などを通じて店舗の顔となるスタッフを養成するショールームスタッフ科を設置。東京校のスマートモビリティ科は大学卒業資格が取得可能です。名古屋校でも4年制の高度自動車工学科に、専門性を磨く3つのコースを設置しています。2025年4月には、これまで別々の学校法人が運営してきた3校が法人統合し、学校法人トヨタ整備学園となることで経営の安定化を図ります。海外研修や整備コンテスト、ラリー参加などの行事を共催したり、各校にいる例えば電子制御のカリスマ先生やボデー板金のカリスマ講師が、学校の垣根を越えて授業を配信するなど、交流も盛んになるでしょう。車好きばかりだった昔と違い、「就職に強いから」など親の勧めで入学するケースもあり、入学生全員が車好きとは限りません。だから、まずは車を好きになってもらいたい。少し手を加えるだけで性能がアップしたとか、乗り心地が良くなったという感覚を早くに体感してほしいのです。カート体験やスーパーGTメカニック補助体験、フォーミュラカーを使った体験学習などもそのための手段の一つ。人生をかけるに値する職業として、車を心から好きになってほしいと思います。理事長プロフィール よこやま・ひろゆき●1951年生まれ。名古屋工業大学工学部卒業。トヨタ自動車 品質保証部長、CF本部長、専務役員、その後ダイハツ工業代表取締役副社長を歴任。2019年より現職。専門学校プロフィール1961年トヨタ直営自動車整備学校として開校。2年制の自動車整備科に加え、4年制の高度自動車工学科(自動車技術研究コース、高度整備技術コース、カスタマイズコース)を設置。また、留学生を対象とした3年制の国際自動車整備科も設置。愛知県清須市。2025 JAN. Vol.453 65人も輩出。社長まで務めた方が1555まとめ/堀水潤一 撮影/村上史彦
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