に興味をもちましたかと。英語を使って皆と一緒に考えるなかで『これが好き』とか『こういう感じで生きていきたい』とか、人生のエネルギー源となるものを見つけてほしいと思っています」もちろん、好きなことや、やりたいことと 質問したり提案したりして、共生するにはが見えてきても、世の中には自分の思い通りにはいかないことがたくさんある。でも、その状況とどう向き合うかも、周囲とまた対話して考えてほしいそうだ。「この先の社会では、外国の人との関わりもより増えるはず。世界にはいろいろな考えをもつ人がいることを肌で感じたときに、偏見や差別を抱くのではなく、相手にどうすればいいかを一緒に考えられる人になってほしいのです」ICTの進歩で英語の自動翻訳も広まった今、「これからの英語教育に求められることは何だろう?」ということを、田中先生は改めて考えるようになった。「技術がどんなに発達しても変わらないのは、『相手がいる』ということ。相手のことを理解しようとし、自分のことも適切に伝えようとし、互いを認め合いながらつながっていく。そのために『英語を使う』ということを、皆で楽しめるような授業を行っていきたいと思っています」目的達成のために英語4技能を使って考えることをしてきた生徒たちは、春先は隣同士で英語でやり取りしてもすぐ途切れていたのに、秋には対話時間終了後も話が止まらないほどになった。そんな姿を見ると、田中先生は「この子たちはすごいな、大好きだな」と思うという。「みんな優しいんですよ、相手に対して。発言にうんうんとうなずいたり、great!返したり。受けとめてもらえた生徒のほうは嬉しいですよね。私は、授業を通して『一人ひとりのことをもっと聞きたい』と思っているんです。教科書のトピックにふれて、あなたは何を思い、何を考え、どんなこと互いの考えを伝え合うなかで自分や相手への理解を深める生徒の意見を聞く田中先生。生徒からは「先生が楽しそうなので、自分も楽しく勉強しようと思った」との声が。さまざまな話題について「〜は良いか」「〜すべきか」という質問を、教員が投げかけたり、生徒自身に考えてもらい、どんな社会がいいかを自然に考えるように後押し。「誰にとっては」と他者目線で考える重要さも伝えていく。教科書を読む・聞くときに「全体をとらえる」ための発問、「要点を押さえる」ための発問、「自身がどう思ったかを考える」ための発問などを、順を追ってすることで、生徒が一歩ずつ思考を深めていけるように促している。左より、1年生の金井塚勇翔さん、佐原叶笑さん、三枝理子さん、田中絆翔さんトピックごとに読む(聞く)目的や場面を設定。例えば気候変動の投稿文にふれるトピックでは「世界環境デーのWebサイトの投稿を読み、自分の意見を投稿しよう」という設定の下、readingとwritingを行った。2025 JAN. Vol.453教科書のトピックにふれて何を思ったか、生徒が自己表現する機会を重視。その表現に対して口頭やオンラインで、ほかの生徒・教員・ALTが反応を返す時間も大切にし、やり取りのなかで思考が深まるように促している。世界や社会のことを皆で考えるのが楽しくなった――田中先生の授業の特徴を教えてください。三枝さん 教科書を基に、世界や社会の問題を、先生も一緒になって皆で楽しく考えていく授業です。金井塚さん コミュニケーションを取りながら学ぶというか。先生とも生徒同士でもよく話します。田中さん ペアでのやり取りでは、友達の意見が面白いときがあって、それがいいと思います。佐原さん 私たちのオンラインの書き込みにも先生がいっぱい反応してくれるので、やる気が出ます。――授業のなかで、こんなことを学べたな、将来に役立ちそうだな、と思ったことはありますか?佐原さん 「話を読み解く力」と「英語力」が一緒についている感じがします。英語の教科書を読むことや、英会話を聞くことが、今では面白いです。三枝さん 授業で「与えられた話題について自分で考える」ことをしているので、この先も論文などを読んで意見を述べるときに役立つと思います。田中さん みんなで考えを言い合うなかで、この子はそう思っていたんだ、と気づくことが多いので、「想像力」の幅が広がった、と感じています。金井塚さん 「人に聞くことの大切さ」を教わったように思います。意見を聞いて、いろいろな視点にふれることで、自分の考えを深められるので。生徒INTERVIEW59・ 教科書のさまざまなトピックについて、何が書かれていて自分はどう思ったか、皆とやり取りしながら考えることで、自己や他者のこと、広く社会で起きていることに目を向けていってほしいと思っています。・ 授業の経験を糧に、英語で意見を伝え合い、相互理解や課題解決ができる人になってほしいです。発問によって思考の深化を促す社会に目を向ける思考の仕方を伝授一人ひとりが表現しみんなで受けとめる教科書に向き合う目的や場面を設定
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