キャリアガイダンスVol.454
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都の大学を卒業後、地元に戻り山口県職員として働いています。初任地は岩国健で帰れる仕事」というイメージであれば、実際は違います。部署にもよりますが、業務量が非常に多くなる時期もありますし、常に世の中の動きを把握し、情報をアップデートする必要もあります。仕事の進め方も、個人の裁量に任される部分も多く、積極的に提案することも期待されます。私自身、国際交流協会の方と話すなかで外国籍県民の災害対応に課題を感じ、解決策を提案し後任につなげたこともあります。想像以上に「やってみたい」が受け入れられるダイナミックな仕事場だと思います。終日職場にこもっているわけでもありません。業界団体の方と話したり、各地の現場に出向いて意見を交換したりしながら、大局的・政策的な視点で地元の役に立ちたいと考えています。ただ、地元といっても、広島県に接した岩国市から、九州との結びつきが強い下関市まで広く、暮らす人々の立場や考え方も多岐にわたります。学生時代のボランティアで、ある県の全域を選挙カーで回ったときの感想が思い出されました。「いったい、これだけ多くの有権者に応えられる政策なんてあるのだろうか」と。どんなに良いと思える施策でも、全員に納得してもらうことは困難です。それでも地道に対話を重ねることで物事を少しでも良い方向に進めたい。それが私の原動力です。行政職は何かのスペシャリストではありません。けれど、専門家と地域の方など、普段会わない人同士をつなぐことはできますから。康福祉センターで、その後は本庁の人事課、国際課、財政課、医療政策課、教育政策課を経て、現在、文化振興課に属しています。異動の間隔は3年ないし4年。そのたび業務内容も職場の雰囲気も変わり、転職したような新鮮な気持ちになるとともに、「一から勉強だ」と引き締まります。ただ、法律に基づく仕事という基本は共通で、経験を活かせることも多く、物事がより俯瞰的に見えるようになってきました。私の場合、許認可や人事、予算対応など、行政職員らしい業務が多いですが、県庁には、外部へのプロモーションを積極的に行う産業振興系の部署や、独創的な企画が求められる広報や観光関連の部署もあります。異動が多いということは、どんなタイプの職員でも持ち味を発揮できる場があるともいえるんです。職場は県内とは限りません。特産物京    の販路開拓や観光客誘致の部署では海外で働く機会も多いし、私も留学生・研修生の受入や交流事業の関係で海外出張もしました。山口県東京事務所などでの勤務や、中央省庁への研修派遣、民間企業との交流人事も盛んです。こうした点も含め、高校生が抱く公務員像と実際とでは多少のギャップがあるかもしれません。「安定」した職場と言われますが、安定の意味が雇用や待遇ではなく、「単調な業務をこなし定時2025 APR. Vol.45410やの・のぶこ●1981年生まれ。京都大学文学部卒業後、山口県職員。岩国健康福祉センター(健康福祉部)、人事課(総務部)、国際課(観光スポーツ文化部)、財政課(総務部)、医療政策課(健康福祉部)、教育政策課(教育庁)を経て、2025年4月より現職。取材・文/堀水潤一 撮影/島袋智子山口県 観光スポーツ文化部文化振興課 主査矢野展子さん私の仕事は、地方公務員(行政事務)です。

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