分でも不思議ですが、20年近くコンサルティング会社に勤め、今、花屋を経営していん。昔の同僚が店に来ると「別人?」と驚くくらい顔つきも変わったようです。オーナーとのご縁は続き、内部で行き来できる隣の店舗も使えることになりました。ただ、花屋を拡張しても大きな利益は見込めません。そこで、花のワークショップや料理教室などのイベントも実施できる、地域に開かれたカフェを開業しました。片隅では有機野菜も販売しています。ですから今、花屋で、八百屋で、カフェで、コミュニティスペースでもある変わった店を運営していることに。コンサルティングの仕事も続けています。私の専門は公共事業に民間の力を巻き込むこと。会社員時代のような大規模プロジェクトではなく、「地域のことは地域の人で」をテーマに、地元の企業やNPOを自治体の地域づくりに活かしたい。その点、花屋もカフェも、人と街をつなぐコミュニティハブとしての機能も期待してるんです。初対面の方に「官民連携のコンサルです」と自己紹介しても「何それ」状態ですが、「花屋です。コンサルもしてます」と言うと興味津々。花は心のバリアを外す素晴らしいツールなんですよね。私は、計画的に花屋になったわけではありません。生き方を模索するなか、偶然の出会いも活かし、ピースがはまるように今の形にたどりつきました。時おり本業が何かわからなくなりますが、人間って多面的な生き物。なので仕事も多面的でいいかなって。そんな花屋もあることを高校生に知ってほしいです。ます。きっかけは、コロナ禍でリモートワークが続き、働き方や生き方に疑問が生じたこと。好きな花に囲まれたくなり、花□□卉市場に足が向いたんです。何とか仕入れられたのですが、まとまった単位でしか購入できず、自宅に飾るには多すぎました。ならば町の人に格安でお分けしようと、自転車に積み近所をウロウロし始めたんです。でも人って、呼び止めてまで物を買わないんですね。そこで、店休日の鞄屋さんの軒先に「ご自由にどうぞ」と処分品が置かれていたのに便乗し、その横で腰を据えたところ買い手がつくようになりました。けれど、鞄屋さんのオーナーが戻ってきて平謝り。誠心誠意経緯を説明したところ、毎週末、軒先を使う許可を頂けました。ご好意はそれだけではありません。翌年その〝路地裏花屋〟が軌道に乗ってきたタイミングで、高齢のため鞄屋さんをたたむということで格安で店舗を貸していただけることになったんです。こうして2022年、念願の実店舗を自 オープンしました。私の業務は、金曜早朝、市場で一週間分の花を仕入れることから始まります。車いっぱいの花をスタッフと店に運び、水揚げしたり、棘や葉を落としたりして商品棚に並べるまでに数時間。水をこまめに変えることも重労働です。でも、大好きな花に囲まれて過ごす喜びは何物にも代えられませ2025 APR. Vol.45413なかしま・みか●1975年生まれ。筑波大学大学院修了後、建設技術研究所およびPwCアドバイザリー合同会社に勤務し、公共事業の計画立案や官民連携のアドバイザー業務に従事。2021年に“路地裏花屋”を開始し、2022年にJR駒込駅近くに実店舗「komatokamo」をオープン。さらに2024年には地域の拠点となるべくカフェ「Farm to Home」を隣で開業。取材・文/堀水潤一 撮影/平山 諭komatokamoオーナー中島満香さん私の仕事は、花屋です。
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