す。怖いのが、悪意なき歪みです。誰か・何かのために良い結果を出したいと思うが故に恣意的な分析をしてしまう…ということが起こり得るのです。こうしたことのないよう、忠実にまっすぐに業務を遂行することを肝に銘じています。もう一つが、データの分析に自分なりの色を入れることです。顧客のニーズ、データの傾向、分析の手法などからベストな道を探っていくのですが、そこにデータサイエンティストの個性が出るんです。私の場合は、「この分析手法はこういうタイプだな」と性格を汲み取り、課題に合う手法を編み出す感覚です。学校の先生が生徒に合わせて教える内容や教え方を変えるように、料理人が素材に合わせて調理法や味付けをアレンジするように、正解がないからこそ自分らしさを加えることを意識しています。この2つは一見すると矛盾するようですが、両立するところにデータサイエンスの面白さがあるのかもしれません。今、世界はものすごいスピードで書き換わっています。そして、ITは次の世界をつくる中心勢力の一つです。自分はその領域に身を置いて、今日より明日、明日より明後日をより良くする仕事をしているのだと自負しています。一方、あまりの変化の速さと勢いに、脅威を感じる自分もいます。変わらざるを得ない状況のなか、大事なのは変化を受け入れる素直さと変わる意志をもつこと。これを胸に刻み、これからも新しいことを学び続けていきたいです。はデータサイエンティストとしてIT系企業に勤務し、主にデータ分析と分析を使』の検索機能について、reenった機能開発に取り組んでいます。一例を挙げると、自社で運営している転職サイト『Gどのような単語が誰によってどのくらい検索されているのかといったデータを基に、検索の性能を優先的に上げるべき領域を洗い出し、性能を上げるためのプログラムを作る、といったことをやっています。また、会社のAI戦略策定を担い、最新AI技術や業界の動向についての情報収集や未来予測を行い、それを社内に周知するという仕事もしています。データを扱ううえで大事なのが、「デ私 ータを使って何をするか」です。顧客のニーズはどこにあるか。ニーズに対してどのような価値が提供できるか。そのためにはどのようなデータと分析が必要か。その実現のためにはどのような人材を集め、どのような会社とコラボすべきか。データサイエンティストには、こうしたマーケティングや事業開発の視点やセンスが求められます。理系の職業という印象が強いかもしれませんが、情報系の基礎知識は必須とはいえ、文系出身のデータサイエンティストも多く活躍しています。データを扱う人間として心掛けていることが2つあります。一つは、倫理的に誇れる仕事をすることです。データは悪用しようと思えばいくらでもできま2025 APR. Vol.45416すぎやま・さとし●1990年生まれ。数学者を目指して大学院博士課程で学ぶも、世の中に対して出す価値を大きくしたい、今しかできないことをしたいと考え、当時スタートアップだった(株)アトラエに入社。マーケティング職を経て、入社3年目に社内初のデータサイエンティストとなる。取材・文/笹原風花 撮影/平山 諭(株)アトラエシニアデータサイエンティスト杉山 聡さん私の仕事は、データサイエンティストです。デタサイエンティストデタサイエンティスト
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