〝たった一つの名前〟に縛られているところから脱するに異なる特色をもつ高校からお集まりいただいた、4名の先生方を前に、ファシリテーターの安藤さんから「職業について考える前に、私たちのものの見方を、柔らかくほぐすところから始めたい」と話があった。そこで冒頭では、多面的な自分を知るためのワークをやってみることに。「私は〇〇〇な×××である」という構文に当てはめて、さまざまな自分を言葉にしていく。「自分を説明する名詞を考えてみると、まずは『教員』『親(子)』など、社会的な属性を表す言葉が思い浮かぶかもしれません。でも、そうした表層的な属性情報を出し切ると、自分を何かに見立てざるをえなくなる。そこからが、このワークの面白いところです。なんとも言葉にしがたい自分らしさが、顔を出し始めます」(安藤さん)初は戸惑いの表情を見せた先生方も、黙々と筆を進めていく。書かれたフレーズを発表してもらうと、後半になるにつれて、自分を表す言葉がどんどんユニークになっていくのがわかる。「私はにんじんの嫌いなうさぎである」(見た目で決めつけられがちな性格と授業内容や進路指導などそれぞれ「最低20個書く」というお題に、最間」と無意識に決めつけ、進路の選択肢を狭めている生徒がいるかもしれない。「私たちには本来、たくさんの顔があります。〝整合性のとれた一種類の私〟という幻想から脱して、もっと自由にあそびをもたせてみる。すると、それまで気づかなかった、新しい自分が表に出てくるかもしれませんね」(安藤さん)実際の自分が違うように感じるから)、「手先の不器用な大工である」(ものごとの構造が好きだが、自分で組み立てることは苦手だから)と、〝矛盾〟す る自分を発見し、表現した先生もいた。こうして出てきた「たくさんの私」を再び編集し、新しい自分を表現するキャッチフレーズを考えることに。ポイントは「その言葉を考えるとワクワクする、きもちいい、といった感覚を大切に、自由に言葉を連想していく」ことだと安藤さんは語る。先生方からは「知識の酒」「つなぐ・つながる田舎暮らし」など、その方の素顔がうかがえるような、ユニークなキャッチフレーズがたくさん飛び出した。安藤さんは、現在放送中の大河ドラマの主人公・蔦屋重三郎が、狂歌師としては別の名を名乗っていたことを例に出しながら、「現代を生きる私たちは、自分自身の本当の名前というものに少し縛られすぎているところもあるのではないでしょうか。それが自分のものの見方や、想像力を狭めることにもつながっているかもしれない」と語る。高校生でも「私はこういう人※ダウンロードサイト:リクルート進学総研>> 刊行物>> キャリアガイダンス(Vol.454)高校生でも、「私はこういう人間だから」「どうせ私はこの程度だから」と口にする生徒さんがいるかもしれません。無意識のうちに、自分というものへの認識が狭まり固まっていくのです。まずはそこからほぐしてみましょう。何より見方が固まりがちなのは自分像。多面的な「私」を知る2025 APR. Vol.45419ワークシートはダウンロードしてご使用いただけます。
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