キャリアガイダンスVol.454
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リと変わった」「どんな技術や願いをもって仕事をしているかという観点で企業を見つめるようになった」など、仕事や働くことへの意識・見方の変化に言及する声が目立つ(図5)。本取組が職業観に好影響を与えていることがわかる。「学校の成績では目立たない生徒が、生き生き取り組むことも珍しくありません。前任の教員の研究から、教科学力に表れる認知能力と、本取組に表れる非認知能力との間に相関が見られないという結果も出ています。本取組で自信をつけると、社会と関わっていくことを恐れなくなります。臆せず企業の方にメールを送り、依頼して断られることがあっても当然と受け止め、どこにでも飛び出していこうとする。肯定的な社会観が育っていると感じます」(森田先生)インターンシップの経験は、2年次の個人テーマの探究活動につながる。2年生の浅香愛佑加さんは、インターンシップ経験を基に探究テーマを「ノーマライゼーション実現のために私たちができることは何か」と設定し、活動中だ。「障がいやマイノリティに対する偏見は無知から生まれる。まずは知ることが大切」と考え、1年生に対して手袋をつけて折り紙を折るなどの体験授業の実施や、多様性を表現するマークをデザインしてステッカーを配布するなどの活動を行っている。将来は多様な子どもを支援する人になるのが目標だという(左コラム参照)。インターンシップにこれほど力を注  る姿が何よりも雄弁に物語っている。ぐ進学校は、希少と言えるだろう。その意義の大きさは、生徒たちの成長す「教科の授業に重点を置く進学校ほど、この取組を行う意義は大きい」とし、同校は今後もさらにこの取組を発展させていく方針だ。□□□□□□2025 APR. Vol.454生徒のインターンシップ先は多様な分野の企業、市役所、医療機関、学校などさまざま。写真はラジオ局(上)と産婦人科(下)での様子。インターンシップ報告会は少人数に分かれて実施。受け入れ企業・団体の方と2年生も評価を行う。1979年創立/単位制普通科/生徒数710人(男子380人・女子330人)/2003年群馬県初の進学重視型単位制高校に。8割以上の生徒が国公立大学進学を目指している。● 前の自分は仕事に対して大変そうというイメージしかもっていなかったけれど、インターンシップをやってから仕事への興味のもち方がガラリと変わったので、もっといろんなことを調べていきたいと思いました。● 自分が興味のある分野以外の企業も、今回私が行ったインターンシップ先と同様にどんな技術や願いをもって仕事を行っているのか、という観点で見つめるようになった。年上の人と会話をするのが楽しくなった。● 美術館の地域貢献の仕方、運営の仕方がわかった。屋外の企画展示の準備を行った時、地域と企業が協力して展示作業を進めていたのを見て、コネクションや力を貸してもらえるような誠実さをもつことの大切さを知った。一つの物事にも多くの人が関わっているのだと意識できるようになった。● インターンシップ前は、単純な理由でこの職業になりたいって感じだったのが、このインターンシップをきっかけに、もっといろいろな職業を調べ、自分の興味関心のある職種を比較して自分にとって最適な選択ができるようになりたいと思えるようになりました。歴史が好きなことと教育の仕事への関心から、多財の保護・管理施設でインターンシップを行いました。働く方のお話や発掘現場の繊細な作業の見学などから、地道な努力と時代を超えたチームワークで文化財が守られてきたことを知り、夢とロマンを後世に残す仕事なのだと胸が躍りました。また、文化財保護の仕事に私たちが学んでいる数学や理科の知識を垣間見て無駄な勉強はないことや、歴史の多面性から物ごとを多面的に捉える重要性を学んだことも、大きな収穫です。(1年生・久保日菜子さん)公認心理師の仕事に興味があり、心理相談室と児童発達支援事業所を自己開拓してインターンシップを行いました。今後、心の病や障がいをもつ子どもに対する公認心理師の需要が高まると考えています。すべての人が分け隔てなく生活を送るノーマライゼーションの時代に向けて、政府の支援や、多様性への理解者を増やす必要性を感じました。また、対面の直接的な対応を重視する両事業所において、SNSの普及や進化をどう活用していくべきなのか、新たな問いが生まれました。(2年生・浅香愛胡碑という文化佑加さん)職業観イメージを超える職業観図5生徒アンケート「インターンシップをきっかけに変わったと思うこと」夢とロマンを守る仕事を通じ学習の重要性や物の見方を学んだノーマライゼーションの時代への期待と課題を考察27

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