ちは「自分の進路をより具体的に想像できるようになった」と平山先生は感じている。特に印象的だったのは、期待ほどの結果が出なかった体験を生徒が味わったときだという。どうすればうまくいくのか自問し、社会人からもフィードバックをもらい、「次はこうしたい」「ここが大事だとわかった」などと、その分野の仕事への解像度が高まったのだ。「地域商品のネット販売に挑んだグループは、企業の人から学んだことを生かしてがんばってページを作ったのですが、簡単には売れない現実も知り、ならこうしてみようと試行錯誤を重ねました。デザインに興味のあった生徒は、その体験から『人々のニーズを捉える重要性を学んだ』そうです。そして『地域に寄り添って地域に喜んでもらえるデザインをやってみたい』という夢ももつようになりました」(平山先生)なかには、活動後に進路を見直す生徒もいる。保育士になりたいと思っていた生徒は、子ども食堂の運営に携わるなかで、幼い子たちと関わることの難しさを実感。もう少し上の年齢層と接することをイメージするようになり、スポーツの指導者を目指すようになった。そのように「向いていない、と気づくのも一つの学びであり、悪いことだとは思っていません」と森先生は言う。また、多様な社会人と進める教育活動は、教員にとってもプラスになる、と森先生は捉えている。「私は20年近く教員一筋でやってきたので、『学校以外の社会を知らない』と言われることがあり、それが結構コンプレックスでもあったんです。この仕事にプライドをもって取り組んできましたし、私生活でいろいろな職業の人に会えば話を聞いたりと、生徒の進路の参考になりそうな情報にアンテナも張ってきましたが、確かに、世の中の仕事について知らないことは多いですから。それだけに今、外の人と関わるなかで、生徒と一緒に私も学ばせてもらっているという感覚があります。例えば教員が意識しづらい『何のためにどうやって利益を出すか』といったことを。そうして自分の感じ取ったことも、進路相談や個別の授業に生かしていけたら、と思っています」元事業者と、児童センターと連携。同センターで、小学生に対して理科の実験と蚕の生態調査を行う交流活動を行った。こうした社会人との協働で、生徒た世の中の仕事にふれることを生徒と一緒に教員も楽しむ2025 APR. Vol.454「地域商品」を探究した生徒たちは、ジャムやプリン、パン、猪肉などの地元の特産品について、生産者の元を訪れ、商品に込めた思いを聞き取ったうえで、ネット上のショッピングサイトで販売のPRをした。ネット販売にあたり、IT企業の社員からWebマーケティングのことも学習。買いたいと思わせる表現や見せ方を学んだ。広く知らしめる重要性を知り、地元ラジオ局に自ら売り込んでPRした生徒もいた。1896年創立/普通科・農業経営科・生活福祉科/生徒数272名(男子153名・女子119名)、地域連携の教育活動を進めるとともに、海外姉妹校との交流や留学生受け入れで、国際感覚の育成も推進。探究では「観光」のグループで、町の関係人口を増やすことに、町役場や旅行会社、中山間地域振興をする方々と挑みました。世羅町は陸上が盛んなので、陸上教室を軸にいろいろな町の魅力を楽しめる宿泊プランを企画。東京の移住フェアでチラシを配り、SNSでも募集しました。でも定員に達せず中止に…。後日、学校で陸上教室を開いた時に、参加者が楽しんでくれたのが嬉しくて、支えてくださった社会人の方々が「プランは相手の立場になって考えよう」「人の笑顔を見られるから、やりがいがある」と言われていた意味がよくわかりました。また自分たちで企画したいです。(普通科2年生・鈴木雄貴さん)職業観イメージを超える職業観図1探究活動における連携主な連携先相手の立場になって考え人を笑顔にするような仕事を29 □食品開発 地元産業□観光イベント企画□地域商品のオンライン販売□IT管理のスマート農業の実証IT企業ほか民間企業□観光施設へのAIロボット活用□防犯教室へのAIロボット活用□こども食堂(交流の場の創出)自治体や□スマホ相談会大学□世羅町議会意見交換会主な活動(2024年度)
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